万博。私は今でもやらないほうが良かったと思っている。そんなことよりも大きな地震でダメージをくらった地域の復興に力を注ぐべきじゃないのか? 今でもそう思っているよ。
日本にはもっとやらなくちゃいけないことはいっぱいあるんじゃないのか? そもそも失敗した(と私は思っている)オリンピックの反省も十分にされていないのに?
何か始めてしまうと、いくら問題があっても止められない日本は、戦争やってた時からまるで成長していない。ぜーんぶ同じだ。全部。
というわけで、自分では距離を置いていたのに、長年プロモーションしてたバンドが来日したので、ついに万博案件に捕まり、エクスポ会場に行くことになってしまった。それが今年の9月。暑い日だった。
直後に3週間以上続くツアーが予定されていたので、まったく無視してもよかったんだけど、まぁ、バンドのみんなにも会いたいしね。
でも自分の仕事にはメリットなんにもなし。
これねぇー 自分の仕事している人ならわかると思うんだけど、空から何かが降ってきても、私としては全然面白くないのよ。それで小銭が儲かっても、ぜんぜーーん意味がないのよ。
仕事って、自分で努力してやっと実現されることが嬉しいのであって、予定外の何かが空から降ってきて小銭が手に入ったとしても(はいらないけど)全然つまらない。
ましてやバンドに付き合って同じホテルを取ったら、ホテルは一泊3万以上。そこに2泊。はっきり言って予定外の大出費。まぁ、でも遊びに行ったと思えばいいんだけどね…。
で、行けば行ったで、楽しくはありましたよ。現場は知っている人ばかりだったし、日本にいながら外国プロダクションで、そこは外国に行ったみたいだった(爆)。色んな意味で面白かった。
それにしても前にも書いたけど、いろいろ思わないではいられない。まず本当にうちのお客さんに申し訳なかったのは、当日まで、というか当日になってもどうやってこのイベントに参加すれば良いのかまったく不明で入場方法の告知ができなかったこと。
そしてイベント自体は無料で整理券を取れば見られるらしかったのだが、そもそもEXPO会場に入るのだって、私たちは裏から入れたからいいけど、入場方法もわからないし、イベントの整理券をもらう方法もよくわからなかったこと。
だから、ずっと長年バンドを応援してくれている人には、本当に申し訳ないなと思った。いや、もちろんそういう人は数は少ないですよ。でもだからこそ、大切にしてきたのに。
とにかく万博においては、そこにパンダがいようが、アイリッシュミュージシャンがいようが、あまり集客には関係がない。そういう前提なので、情報がきちんと告知されない。
例えば日本からの出演者は全て名前がローマ字のまま。Twitterの反応をみても、古謝美佐子さんが参加されているのを気づいた人が一人いただけ。
基本英語でもないアイルランド語のMCで、出演者が誰なのかも、これがどういう主旨で行われているのかも、よくわからない。(はい、実際はアイルランドという国のアイルランド語放送局による日本とアイルランドは仲良しですよ、というテレビ番組の収録でした)
笑ったのは、アイルランドからの出演者は10名と万博のページに告知されていたこと。でもステージ上には13名のアイリッシュのミュージシャンがいる。えっ、FLOOKって、人の名前と思われたかな? あのー、4人バンドなんですけど(爆)
大きな新聞記事にもなったが、新聞記者さんにちゃんと資料が渡されていなかったらしく、言うに事欠いた記事のヘッドラインは「小泉八雲のひ孫も鑑賞」(笑)
ミュージシャンの詳細にはいっさい触れず、凡先生も会場にいらっしゃったということで記事をまとめていた。記者さんも大変だよなぁ。
「八雲の提唱したオープンマインドで多様性を重んじる社会、みんなで仲良くしましょう」的な凡先生のいつものメッセージで記事は締められていたのであった。さすが凡先生!! ありがとう! いや、まじで!!(笑)
一方で、会場に座っていたお客さんとお話してみれば、皆さん、この日行われているのがどこの国のイベントか、そしてその国がどこにあるのか、このイベントがどういう主旨で行われているのかまったくご存知ない。そりゃそうだよね。情報がないんだもの。
ただただ並んで整理券とって、室内にいれば涼しいからということで会場に集まった。
もっともこれらのお客さんたちを責める気にもなれない。このお客さんたちこそ情報を欲しているようであり、果たしてこれらの人たちが帰宅して、情報をググったりするのだろうかと思いつつも、ミュージシャンの紹介を書いた私のブログには結構なアクセス数があった。
万博で初めて外国人の人と交流した、それが楽しかったという人の新聞記事を読む。それも良いことだ。
ただ、わたしが言いたいのは、そんなふうに人々がナイーヴでいることが、残念ながら今の日本を作ってしまっているのも事実なんだよ、ということ。
もう少し、どういう仕組みで社会が動いているのか、知ったほうがいいんではないかと思う。
私がTHE MUSIC PLANTを辞めると告知しても、私が赤字になっても実現してきた主催事業と、ギャラをもらって自分のリスクもなく雇われてるだけの案件の、区別のついていない人にびっくりする。まぁ、でもそういうもんだよね。普通の人にそんな理解を求めるのは難しいのだろうか。
多くの人は自分の働きが、会社にどのくらいの利益をもたらしているのかもよく知らず、ただただ毎日を送っているのかもしれない。
あっ、いかん。上から目線になってしまったかも? でも私だって知らない世間の常識はいっぱいある。知らないことが多すぎる。
そんなわけで日々勉強しなくちゃなぁ、と思ったのだった。
でも、まぁ、音楽に罪はないので、皆さん、お楽しみいただければ幸いです。果たして、ここから真のアイリッシュミュージックファンは生まれるのだろうか? いや、でも何をもって真のファンとジャッジするのだろうか?
アイルランド音楽にお金を使ってくれる人? よくわからない。
でも究極はね、こういうことは結局自分の事業じゃないからね。思い通りになんてなるわけがないんですよ。そういうことだな。
ま、いいや、自分のことしよう。まだポールの来日レポートと、八雲公演のレポートを書く気になれない。書くと本当に終わってしまう気がして(笑)
でもそろそろ書かないと本当に忘れてしまう。やばい、やばい。
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◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろすことにしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。主催公演や招聘はもう行う予定はありませんが、2026年も若干雇われ案件があるので、それはゆっくりとこなしていきます。
◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのマネジメントおよび宣伝をお手伝いしております。今年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中。
◎こちらのショパンコンクールのドキュメンタリー映画『ピアノフォルテ』のPRのお手伝いしております。東京での上映は一旦終了しましたが、これから公開になる地域もあるようです。みんな見てね! 公式サイトはここ。

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