2025年に会ったことをザクっと総括しようと思って総括したら、この公演の記憶がざっくり抜けていた。ひどすぎるにもほどがある。去年私がやったことで何か意味があることがあるとしたら、この公演くらいなのだから。
これを忘れては困る。2025年の私はこれだった。ほんと黒木さんと出会ってもらったのがよかったよね。
クイヴィーンは、会ったことのある人ならわかると思うけど、もう最高に素敵な「今どきのいい性格のアーティスト」一度あったら、ファンになる。そして彼の音楽に対する姿勢もいいんだわ、これが。
その彼が、万博のアイルランドパビリオンのインスタレーションの音楽担当ということで何回か来日していたので、「何度か来日するのは知っている。せっかくだからライブ一回でもやろうよ、3ヶ月前に教えてくれればビザも間にあうし会場は平日だったらなんとかなる」と声かけたら、この公演が決まった。本当急遽。
よかったのはクイヴィーンは「あいつら(万博)のいうことを聞いていたら、おそらく何も決められない。僕が責任を取るから、この日。公演はこの日に決めちゃって。スケジュール全部渡すから」と言ってくれたのだ。頭がいい子。
で、音楽の内容と言ったら、もう最高に抜群だった。クイヴィーンの演奏は、立ち上がりこそ、ちょっと手探りな感じもあったけど、インプロっぽかったけど比較的わかりやすい曲をやってくれたし、黒木さんとのデュオではしっかり「聞き応え」感も作れたと思う。
本当はこういう才能も未来もある人は、しっかりこちらで渡航費を出し、インタビューも含めたスケジュールをがっつり組んで、あれこれやったら日本でのキャリアのスタートも違ったものになったかもしれない。
…いや、いや、無理だな。残念ながらそれだけでは日本ではやっていけない。30年似たようなことやってきて、ずっと失敗してきたじゃないか。それがもう十分すぎるほど、わかっていたら、私ももう無理はしなかった。
この公演のあと、9月に入って、彼はまた万博がらみで日本にやってきて、新設された大使館のホールでジム・オルークさんと演奏したそうだけれど、その内容についてはなかなか謎だったらしい。私も顔を出したかったけど、ゴサード姉妹と一緒に北海道をツアーしていてそれは叶わなかった。
私はといえば、自分が有料公演作ったあとに、大使館の無料公演かよ…とちょっとがっかりしたけど、言いたいことを言えば、きちんと責任と取って彼らの日本でのキャリアを組み立てる人がいなければ、よくある結果だとも言えなくもない。
まぁ、重ねていうけど万博がらみの案件というのは、そういうもんなんです。
でも、無名の新人の公演に6,000円出してくれたお客様には、本当に感謝だ。思ったよりたくさんの人が集まって、ビザ代のリクープはもちろん、彼にもそれなりに払ってあげられた。
大使館でのジムさんとクイヴィーンの世界はインプロだっただろうから、おそらく観客のための公演ではなく、彼らの、彼らだけの公演だったのに違いない。それはそれで良いのかもしれないけど、それは…THE MUSIC PLANTの公演じゃない、な。
本当はクイヴィーンみたいな、こういう音楽がもっと広まるといいんだけどなぁと思ったりしている。もう個人的にはチャカチャカした音楽は卒業した感じ。もちろんダンス・ミュージックでいいんだけど、もっとソトンプとかアクセントがあって、ゆらぎがあって、そこから広がる感じのやつが好きだな。ヴェーセンのさらに先に行くやつ。ポーランドみたいな。
あー、この曲もすごくよかったなぁ。公演終わった後も、ずっとこのフレーズが頭から離れなくて困った。
