和田靜香さん『中高年シングル女性』を読みました


和田さんの新刊出ました。例の『世界』で連載してたやつに加筆したもの。新書。新書はいい。手にとったとたん、読み終わりの時期を予測できる。当然こちらも就寝前の読書時間(だいたい60分から90分)で2日で読み終わる。読みやすい。

大きい感想。思ったことをざっくり最初に書いちゃうと、やっぱり和田さんはインタビューがうまいなと思った。そりゃそうだわな。音楽ライターとして、ずっとインタビューしてたわけだから。

相手の中にぐいぐい切り込んでいける能力においては、ほんとうに物凄いものがあるんじゃないか、と思った。思えばノンフィクションでも、これだけインタビューしてインタビュー中心に書かれた物は珍しいかも。さすがである。

まぁ、あとは、すべて、相手が女性だからな、というのもある。たくさんの女性の声を集めて、しっかりまとめた内容に「共感」の波がヒシヒシと押し寄せてくる。読者もまた女性が多いんだろうか。

そして、人に話すこと、人の話を聞くことで、救われることがたくさんあるんだなと改めて思った。この本を書いて一番救われているのは、和田さんなのだろうなとも想像がつく。

ひと言で「中高年シングル女性」と言っても、いろんな人がいる。介護に追われている人、子供のころの呪いの言葉から抜け出せない人。かと思うと、逆境にもめげず資格を取ったり明るく働いている人もいる。

(それでも和田さんに話すことによって、いろんな仕事のミスマッチに気づいたりしてるインタビュイーもいたりするから、やっぱりインタビューは面白い)

そして、この本を読み進めるうちに、おどろくほどDV被害者の人は多いなということにも驚愕だ。怖い。いわゆる暴力にあっていないだけ私は相当幸せなのかもしれない。

私もこの年末にいわゆる事業の事務所は閉めて、このあと年金生活+ときどきバイト的フリーランスで地味に行くかと思いつつも、大きな不安をかかえている一人である。当然シングル。子なし。結婚なんてもってのほか。

結婚しようかなと思ってた時期もあったが、それはとっとと20代に卒業し(笑)、仕事で独立できてからは本当に自由気ままに生きてきた。

おかげさまで、なんとなく貯金があったり、かけていた年金をもらえる年齢になったりで、老後は何とかなりそうだなと思うから、もう攻めの人生はやめて主宰事業からは足を洗うわけだけれども、

では、そうなったら今ある家賃のままで、ここに住んでいけるのだろうかと不安になったりもする。

しかし、そうだよなぁ。この本を読んで改めて考える。まともなところに住むこと=人権でもあるのだしなぁ。

そんな誰もがそれぞれのレベルで不安なんだよな、というのはある。そんな中「こういう人もいるんだ」「こんなやり方もあるんだ」というのが見えて、これを読んでいて、へんな話だが、とても明るい気持ちになった。

そういや、和田さんの出演しているポリタスTVの和田さんの回は、いつも「悲惨だ」「惨めだ」「酷い」と連発しながら、なんだかいつも楽しそうだ。いつも明るい笑いが絶えない。

いや、笑って誤魔化してはいけない大変な現実なんだけど、これもまた女の強さなんだよな、と思ったり。

でもさ、これ、女だけの問題でもないような気がするな。

男性側でもこういう「生活大変です」みたいにオープンにするようなライターさんが出現して、和田さんとトークしたら、最高に面白いかもしれない。(すでにもう存在しているのかしら? 私が知らないだけで? でもその「席」、明らかに空いているよね?)

女性が生きやすい世界は、男性の生きやすい世界でもあるから。

そして、この本、明るくもある。というは、世界がすこーしずつだけど心ある人たちによって良い方向に向かっているということもわかるから。私の知らないところで、たくさんのことが動いている。特に最後の方に向かうと、それが感じられるのよ。

ちょっとした法律や自治体の動きなど、心ある人たちの努力によって、少しずつだけど良い方向に明らかに向かっている。それが実感できる。だから心配せず、ぜひグイグイ読み進めちゃって(笑)

あとやっぱりフェミニズムだよね。フェミニズムは、本当に全ての物の見方を変える。私はフェミニストを気取っているようでいて、全然フェミニズムの本とか読めていないので、これを機会にもっと勉強しなくちゃって思った。

そうそう、この本を読んでいて、ひとつ驚愕の事実が。音楽業界は耳をかっぽじって、よく聞いて欲しいのであるが、とある編集部では女性と男性で原稿料の差があったという証言。これにはのけぞった。

ウチも一時期CDのライナーを大量に発注していた時期もあるが… そんな話はついぞ聞いたこがなかった。でもそういうレコ社や編集部があったかもしれない。

しかもその編集部では女性ライターの方が多かったのに、という証言である。ここは本当にぜひ深掘りしてもらいたい、と思った。

(ちなみに私は基本、男性と同じ仕事をしてきたつもりであったのだが、サラリーマン時代、男性と女性では給料の差があることは、まったく知らなかった大バカものである。我ながらそのバカぶり、お花畑ぶりにあきれる)

(ここで私も再び反省だが、女の私がディレクションしていているTHE MUSIC PLANTレーベルにおいても、女性ライターにライナー執筆の仕事をふることはほとんどなかった。これは今ならそんな間違いはしないのにと大反省している。

そのくせ通訳さんやデザイナーさんは100%女性だったり…。まぁ、そういう意味では私には男女のこだわりがまったくなく、ただ単に誰々にお願いしよう、と無邪気に発注していたにすぎない。

ある意味、バカな自分であった。今、レーベルを運営している人、事業を動かしている人。発注先は50・50になるように!! これ鉄則です)

あとフェミニズム本を、全く自分が読めていないことについても反省した。特に田中美津さんの言葉「わかってもらおうと思うは乞食(こじき)の心」が、さくっと紹介されてたのだけれど、この言葉、私は始めて知った。そして、なんかグッと刺さった。

そういや私は田中美津さんどころか上野千鶴子先生の本もまともに読んでいないのであった。あれ、上野先生と対談してたのは古市だったっけか? あれは読んだが。とにかくフェミニズムの本をもっと読まなくちゃ。本、読んでる気になってた自分は本当に馬鹿者である。

田中美津さんはドキュメンタリー映画があって、しばらく部屋の中にチラシを貼っていたのだけど、これまた見逃してしまっていたし…。

でもそうやっていろんなことを知ることは、自分を助けてくれるんだよね。この和田さんの本を読んで改めてそれを思った。フェミニズムは、こうやって、今の私たちのウェイクアップコールにもなっている。本当に偉大!!

そして、この本でも大きく取り上げられている住居問題は私も考えている。今、60で(まだ59だけど)、このあと20年一人暮らしができたとしたら、それは大成功だと思うのだが、では、いったいどこに住むのか。

実家はボロボロで両親がいなくなったら、おそらく取り壊しだ。一方、今、住んでいるこの場所は賃貸だが、かなり恵まれていて、もう15年近く住んでいてかなりの天国であるが、家賃はひどく高い。

不思議なことに5年更新のシステムをとっているこの場所で、次の5年も継続するのか? となると自分は65までここにいることになり、結果、合計20年ここにいることになってしまう。

今まで何度か引っ越しを繰り返してきた自分の最長の住処がここになる。これは自分の人生として、果たして正解なのか?

まぁ、気に入っているし、これはこれで正解なのかもしれない。今日も冬の寒い日だけれど、大きな窓から大きく陽が差し込み、この部屋はとても明るくて過ごしやすい。家賃がしかし、高いんだよなぁ。これをこの先も払っていけるのだろうか。

未来のことを心配していたらキリがないけれど、友達がいるうちは大丈夫なのかな、とは思う。じゃあ、次の住処は友達と住む? うーん、それも今は考えにくい。

この本に話題を戻すと最後の方に紹介されていた千葉県の「花の谷」の伊藤先生の言葉もすごくいい。ここに入るには3つの願いに賛同することが大切です、と。それは「原発のない国、戦争のない国、死刑制度のない国」と。(もちろん賛同しなくても入所はできるらしいが)

なんかいいよなぁ、こうやって人は、理想の世界を作っていくのだなぁ、と。強く思った。

そしてこの本は「生きていかないと」という気持ちで終わっていく。ほんと、ほんとにそうだ。

お迎えが来るまでは、生きていかないといけない。そういう意味では、仕事が終わったとしても、生きていくのは大ごとであり、大変でもある。

こちら栗田隆子さん、そして大椿ゆうこさんと語る和田さんの回。おすすめです。

 

◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて終了。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。主催公演や招聘はもう行う予定はありませんが、2026年も若干雇われ案件(笑)があるので、それはゆっくりとこなしていく予定です。これからはのんびりと。

PRの仕事は続ける「かも」しれませんが、まぁ、それはクライアントさんあってのことだからなぁ。どうなるかなぁ。

この日記も自分のペースで続ける予定。fbページは適当に閉じます。大好きなTwitterは以前と変わらない自分ペースで続けます。1日平均30ツイート。はっきり言ってうるさいと思います。

◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのマネジメントおよび宣伝をお手伝いしております。今年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中


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