この日は本当はデモに行く予定にしていたのだけど、たまたま先日試写会で行った日比谷図書館でこのチラシを見かけ、びっくり!
なんとノルウェー大使館でお世話になった伊達朱実さんの講演があるではないですか。この本はとっくに購入済なんだけど(とにかく素敵な装丁でうっとりなんです)、まだ読めてない。
とはいえ、講演は生物(笑)。お話が聞きたくて行ってきました。(デモの皆さん、雨の中、おつかれ様でした。すごく近くにいたんですが。次こそ絶対に参加!)
フォッセって、こういう人なんだ…と感動するとともに、あらためてノルウェーという国のことを考えました。何度か行ったことはありますが、まだまだ知らないことだらけ。
また伊達さんがノルウェーの書籍をたくさん紹介してくれたので、それをここに載せていきたいと思います。
下記は、毎度のことながら、私が講演中、録音もせず手でメモったものなので、漏れているもの、誤解などあったらすみません。あくまで文責:のざきでお願いいたします。
伊達さんのお話で、すごく心に残ったのがノルウェーの国土。日本と同じくらいのサイズ。実は北欧スカンジナビアの中でもっとも山が多く、海岸線も同じくらいあるんですよ、と。
そして西の海岸線。西へ西へと向かう気持ちの流れ。良いことも悪いことも西からやってくる…。それがフォッセの書く物語のコアな部分ということらしい。そうフォッセはこの西の出身なんです。そしてこの物語はニーノシュクというノルウェー語の中でも少数派のノルウェー語で書かれている。
ノルウェー語には2種類あって(全然知らなかった)ブークモールと呼ばれる言葉がだいたい90%、一方のニーノシュクが10%。ちょっと誤解を恐れずに説明しちゃうと、ニーノシュクは田舎の言葉…と言ってもいいかもしれません。
ちなみにこれにサーミ語をあわせた三つの言語が公用語らしい。
伊達さんによると、ニーノシュクはブークモールに比べてちょっとひなびた感じがするのが素敵なのだそうです。そして言葉を繰り返す感じがとても素敵なのだ、と。
その感じをどう翻訳に活かすのか伊達さんは苦労されたそうですが、著者のインタビューを読んだら、とにかくそこに書かれている一人の人気を書こうと思ったという言葉があって、それに励まされたのだそうです。原作の裏にある音楽を聞け、みたいな。素敵ですね。
ノルウェー人は言語をとても大切にしていて、例えば日本だとテレビやラジオのニュースはすべて標準語で読まれているわけですが、ノルウェーのテレビを見ていると、それぞれのアナウンサーがそれぞれの方言で話していて、とてもユニークなんだそうです。へぇーー!!
また本を守る、と言う意識もとても強く、作家は図書館や学校に行ったり、朗読会をすることなどについて、とても努力している、とのこと。また僻地にどうやって本を届けるかということにも非常に頑張っていて、笑ったのがノルウェーにおけるいわゆる「移動図書館」は「船」なのだそうです。車じゃなくて!(笑)素敵!!
しかし私などから見たら、ノルウェー語もスウェーデン語もデンマーク語もほとんど一緒に聞こえる。でもそれぞれにちゃんと言語ということで存在を認めているわけで、さすが北欧ですよね。素晴らしいと思う。それは先日のグリーンランド案件でも、私も強く感じました。
言葉が大事。言語こそが文化なのだ、と。
ヨン・フォッセはのノーベル文学賞を2023年に受賞。「言葉で表せないものに声を与えた」とされています。うーん、すごいな。早く読んでみたい!
ところでノルウェーの三大芸術家といえばイプセン(『人形の家』ですね!)、グリーク(作曲家)、そして画家のムンク。よく考えたら、この人たち、みんな同時代に活躍してた。すごいよね…(だからコラボ作品、イプセンのポスターをムンクが描くとか存在してるんですよね。すごい)
ノルウェーは、1905年にやっと独立したと思ったら、40〜45年はドイツに占領されていた。そのせいか自分のことは絶対に自分で決めるという意識が高い。だからEUにも非加盟。なんでブリュッセルの言うことを聞かないといけないんだ、と。なるほど〜
あ、そうそう、あとびっくりだったのが、ノルウェー・サーモン。日本で生でお寿司などで提供されるようになったのは最近で(確かにそうかも!)、実はその背景にはノルウェー側のすごい努力があったのだそうです。知らなかった。
それまで日本のお寿司屋さんには、サーモンのお寿司というものはなかった。
寄生虫の問題とかあったみたいなんだけど、ノルウェー側が安全な養殖の設備を整えたり、冷凍の技術を向上させたりで、すごい努力して、サーモンを生で食べることが、実現したんだそうです。すごいよね! ありがとう、ノルウェー!(笑)
というわけで、伊達さんが訳されたフォッセの本については、まだこれから読むので、読んだらちゃんとこちらに紹介していきますが、下記は伊達さんおすすめのノルウェー関係の書籍。こんなにあるんだ!ということで、びっくり。だって世界の中で500万人しか話してない言語なんだよ。すごくないですか?
民話『三匹のやぎのがらがらどん』→ おなじみ!! 私も持ってましたし、仕事をするようになってからも改めて買って持っています。何度でも読みたい!! トロール登場!(笑)
クルート・ハムスン『ヴィクトリア』 そして、マリー・ハムズン『小さい牛追い』『牛追いの冬』→ こちらはご夫婦。実はナチと通じていたということで寂しい晩年だったそう。でも今、また作品が評価されているとのこと。
佐伯一麦『ノルゲ』 → 日本人の方が奥様の留学がきっかけでノルウェーに1年滞在することになった。希望と再生の物語。
絵本 グロー・ダーレ『パパと怒り鬼』 → 父親のDVから更生まで描かれている。子供が読む本にしては、非常にチャレンジングな内容。
アンネ・ホルト『女神の沈黙』 → ノルウェーではイースターにはミステリーを読む習慣があるそうです。北欧のこういったミステリーはノルディック・ノアールと呼ばれていて最近日本でも人気があります。
ハンセン『旅の終わりの音楽』 → うわ、やばい、Crest Booksかぁ。買っちゃいそう。沈むタイタニックで最後まで演奏を続けた音楽家の話。
ミッティング『薪を焚く』 → これ話題になってた!! なんか見たことあるぞ!
ゴルデル『フローリアの告白』 → これ日本でも大ヒットした『ソフィーの選択』の著者。興味あり!
プリョイセン『小さなスプーンおばさん』 → 「おばさん」なのが、いいんだ!と伊達さん。確かに女の子でも男の子でもなく「おばさん」(笑)
というわけで、今年はノルウェーに注目が集まりそう!!
それからメモっておいてください。年末には、ニコライ・アストルップの作品が来日します。 11月に東京ステーション・ギャラリーにて。アストルップもノルウェーの西海岸のアーティスト。注目していてください。
あと配られた案内には伊達さんのおすすめの、日比谷図書館にも在庫している書籍が紹介されていたのですが、その3冊もご紹介しますね。ジョイスが入ってたのが私としてはとても嬉しい!!
宮沢賢治『銀河鉄道の夜 童話集 改版』→ 親友との死出の旅は、ヨン・フォッセの『朝と夕』と重なる要素も多く、続けて読むのもおすすめ、とのこと。なるほど!
ジェイムス・ジョイス『ダブリナーズ』収録『死せるものたち』→ 最後に主人公が雪景色を眺める場面は文学史に残る名場面、と伊達さん。映画も良かったけど、また本も読んでみよう。
ハン・ガン『菜食主義者』→暴力と性と死を描きながら、どこまでも静謐、と伊達さん。ハン・ガン読んだことないんだよな。これから読んでみようかな…
と、この3冊をあげておられました。
ちなみにフォッセの作品(戯曲の方)は、結構日本でも人気で、今も上演されていて、3月29日まで中野のTHE POCKETにて「ヨン・フォッセ×ハン・ガン ノーベル文学賞作家が描く傷と孤独、回復の物語」がやっているのだそうです。興味ある方は、ぜひ。
伊達さん、興味深いお話、本当にありがとうございました。
最後にせっかくだから音楽も。「がらがらどん」ことBukkene Bruse。ウチでも来日させたことがあるアンビョルグ・リーエンのこちらのグループのバンド名なんですよね。 ご存知でしたか?★
◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろすことにしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分の主催公演や招聘はもうやりません。ただ2026年も若干の雇われ・お手伝い案件(笑)があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。
◎現在リリースしたCDの販売は終了しておりますが、書籍はあいかわらず販売しております。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。
◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。
◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中。





