ダブリンの友人とチャットしてたら「エンヤのお姉さんが亡くなったね」と言われ、「えっ、えっ、ど、どの姉!!?」と軽くパニック。
そしたらモイアだった… あぁ。モイアは9人兄弟の長女だった。
73歳って、若すぎじゃないですか? ご病気だったのでしょうか。全然知らなかった。っていうか、アイルランドは日本みたいに「これこれ、こういう理由で亡くなりました」とかあんまり言わないんだよね。もちろん、それでいいんだけど…。
モイアと言えば、クラナド。クラナドといえば、やっぱり私はこのアルバム。
特にこの曲!!
はぁ、かっこいい!
なんとこんなのも発見!
こちらはソロアルバム。ドーナル・ラニーとカルム・マルコムがプロデュースしてて、すごくクオリティが高いアルバム。
ただ正直、モイアのソロアルバムは、私はどれもイマイチぴんと来なかった。なんかどれもニューエイジっぽくって。モイアのヴォーカルは、やっぱりロックやプログレのセッティングで輝く。それはアイオナのジョアンヌにも言えることかもしれないが…
とはいえ、ポール・ヤングとのこの曲も好き。
それから、このクリスチャン・アルバム! 私は大好きでした。
うちで輸入して売ったんだけど、すごい売れた記憶がある。ジョーも人気があったし、一緒に歌っているマーガレット・ベッカーという歌手もめちゃくちゃ歌が上手い人だ。今思えば、マーガレット主導のプロジェクトだったんだろうか。
良いアルバムである。懐かしいなぁ。
モイアとは光栄にも何度かご一緒する機会が私にもあった。最初はプランクトンさんがクラナドを呼んだ時。96年くらいかな?
そして、そのあとドーナル・ラニーと一緒に来日した時。いや、違う、ドーナルの来日の方が先か???! もう記憶がクリアではない。所詮周辺スタッフの一人にすぎなかったからね。自分の仕事ですらよく覚えていないのに… 本当にやばいが記憶があやふや。
とにかく96年とか97年とかそのくらい。最高に気さくな人で、ポップス系のヒット出してる大スターなのにも関わらず、まったく気取らず、ナチュラルな人でした。
特にクラナドと来日した時は、彼女がバンドの要なんだなということがよくわかった。音楽的リーダーはキーランだったのだと思うけどね。
頼りない男子たちをしたがえて、コーラスで一緒に来てた妹のディーちゃんと一緒に女子組は感じがよく、こちらのスタッフも女子ばかりだったので、すごく仲良くしてもらえた。
男子組の中ではメル・コリンズが印象的で、打ち上げに追っかけのお姉さんたちがついてきたのを記憶してる。「うわー、それっぽい。この公演はウドーか?」と思ったのをよく覚えている。
その後、メル・コリンズはクリムゾンの来日公演の来日時に再会した。もちろん向こうは覚えていないと思うのだけど、さすがそういうシチュエーションに慣れているのか「覚えてるよ」なんて社交辞令を言ってくれたっけ。チャーミングな人だ。
それにしてもモイアは、すごくいい人だった。そうそう、彼女の
自伝(すごい値段になってる!)を読んだことがある。
かなりショッキングな内容が赤裸々に書かれていて、目が点になったけれど、モイアのやさしさも、そんなふうに苦労した人生から来ているのかなぁ、と妙に納得した。
とにかく、モイアを悪くいう人に会ったことがなく、まったくもって良い印象しかない。
あ、そうそう、一時、私はモイアのドライバーだというジミーというドライバーさんにすごくお世話になっていた時期があった。アイルランドに行くたびにジミーを呼び出して仕事をお願いしていた。
ジミー、元気かなぁ。とにかく自分の専属ドライバーがいるのが嬉しく、かつ私は車を運転しなかったので、僻地のツアー先にミュージシャンを訪ねて行く時とか、よくジミーに電話して来てもらっていた。
ジミーは世界一汚い…というか散らかったベンツに乗っていたけど、運転は上手で何よりとても親切で車内の会話も楽しかった。
そうそう、いつだったかジミーの運転でダブリンの郊外にアルタンを見に行ったことがあった。
行きの車の中でジミーは「ふーん、アルタンか。あいつらクラナドの真似っこじゃないか? 女性シンガーのいるバンドは大抵モイアをコピーしているんだ」とか言っていたが、マレートに会ったら、マレートの魅力にすっかりやられてしまったようで(笑)、
帰りのドライブでは「すごくいい人だ」「綺麗な人だ」「音楽もすごくいい」と100%ファンになっていたのがおかしかった。
そうそう、ジミーは私がダブリンでパスポートをなくした時にもお世話になった。警察に行ったり、大使館行ったり、ずっと一緒に居てくれた。ジミーは落ち込んでいる私を慰め、お茶までご馳走してくれたのをよく覚えている。ありがとう、ジミー!
あっ、話がジミーになってしまった(笑)。
それにしてもモイアの人生をなんとなく想像するにつけ、ドニゴールみたいな世界の果ての田舎の出身で、ご両親はパブを経営してらして(つまりそのエリアのハブ的存在)、兄弟姉妹がいっぱいいて、なんといっても長女だし、親戚も多いし、
伝統音楽の世界出身出身なのに、ポップスに転向して世界的に成功し(いや、クラナドはファーストアルバムからかなり革新的だったとは言えるが)
ポップスの世界だから中途半端な売れ方では色んな意味で返って大変で、あんなでかいバンド、動かすだけでもお金がすごくかかるし、妹の一人はレコードプロデューサーだった人物と逃げるようにバンドを離れ、プロデューサーとその妻と組んで桁外れの売れ方をし、
離婚も経験しつつ、イングランド人と結婚し(確かケンブリッジに住んでなかったっけか?)、
想像するだけでも、楽な人生ではなかっただろうなとは思う。
それにしても、一ヶ月前のfacebookの投稿がこんな感じである。突然亡くなったんだろうか…っていうか、確かモイア、ドロレスの追悼番組に出てなかったか??
そういや、数年前…確か…5年たってないよな…数年前に「クラナドを呼ばないか」と某所からオファーが来たことがあった。
その時、私はもう仕事を辞めることは決めていたし「うちが何かをやる時は、だいたい2年かけて作るから、そんなに急にはできない」と返事したんだけど、とにかくすごく熱心にプッシュされた記憶がある。
確かオーストラリアだか、他のアジアだかが決まっていて、日本にも来たい、そんな感じだったと思う。というか、もう一箇所決められなければ、オーストラリアだかアジアだかも飛ぶ、みたいなギリギリの状態だったと思う。先方は知らない人だったけど、「最後のワールドツアーだから」とは言っていた。
クラナド、実際もう亡くなったメンバーもいるし、そろそろそんな時期だよな、とは思っていた。
しかし、所詮わたしがオファーできる金額は大した額じゃないから、その話は流れたのだけど…。ちょっと無理してやってみても良かったのか… いや、無理だな。当時のクラナドにそこまでの魅力はなかった。それはそれで縁がなかったということだろう。
バンドの絶頂期と自分のやる気が重なることなんて、滅多にない。
ご冥福をお祈りいたします。たくさんの素敵な音楽をありがとう、モイア。安らかに、ね。
追悼ニュース出ました。アルタンのマレートもコメントしています。
PS
ドキュメンタリー発見! 2020年に作られた模様。ゲール語が多いですが、字幕が入って帰って私たちみたいな外国人には見やすい。
で、これによると、どうやらモイアは肺に疾患をかかえてらした様子。でも映像見る限りすごく元気そう。かつ歌うことはこの病気には良いことだったらしい。スタジオでの番組用のスペシャルパフォーマンスも。
これによると病気を宣告されて、20年以上住んでいたダンレアリー(ダブリン北部)を離れて、ドニゴールに戻ったとのこと。
コメントで、ボノやポール・ブレイディ、ドーナル・ラニーも登場。リアムの歌うIN A LIFE TIMEも聴ける。しかし、まぁ、IN A LIFE TIMEはすごい曲だよね。ボノの歌唱はものすごい。「歌う前から、あそこ大丈夫かなぁ、って思う音符があるよ」とリアム。
なんとかアワードだ、BAFTAだ、グラミーだなんだ言ってた時期が人生的にはとても辛くて、そこで立ち直る時キリスト教に出会った、と。
ポール・ブレイディがその点について、すごく気の利いたコメントしてます。さすが!(笑)っていうか、全体を通して、このドキュメンタリーにおいて、ポール、すごくいいことを言っている。ボノの発言もいいけど、これを見るとポールが頭のいい人だというのが伝わってくる。
そして、モイア、自伝でいろいろ赤裸々に語ったのは大変な仕事だったけど、たくさん読書からお便りをもらって嬉しかった、と。分かる。分かるよ…なんとなく。
モイアは、そして人生の最後までティムさん(写真家の)と一緒で、二人の子供と一緒だったようですね。良かった。
そして最後まですごくイノベイティブで、新しいことにトライしていた。特に最後に作ったソロアルバムは、本当に楽しかったし、お父さんやバンドメンバーをなくしたあとのヒーリングになった、と。
そう、音楽は常に彼女に寄り添っていた。最後のダミアン・デンプシィとのラグラン・ロードも素敵です。ダミアンのキーに合わせているのか、ちょっとキーが低い感じだけど、すごく落ち着いていていい。スペシャルな感じ。
最後の「神様が私にスペシャルな声をくれた」と微笑むモイア、とっても素敵だ。ドニゴールに戻って、これからもっともっと人生を楽しむはずだったのに、やっぱりちょっと早すぎるよね。素晴らしい音楽をありがとう、モイア。
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◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分の主催公演や招聘はもうやりません。ただ2026年も若干の雇われ・お手伝い案件(笑)があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。
◎現在リリースしたCDの販売は終了しておりますが、書籍はあいかわらず販売しております。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。
◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。
◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが35周年記念のリイシューされることになりました。
詳細はこちら。 最新インタビューを
otonanoにて連載中!