川中だいじさん『こちら日本中学生新聞』を読みました。素晴らしい!!!

 


私はよくお風呂で本を読むので、このように本が湿気にやられてしまうのだった… この本も読み始めたら読み終わるまで止まらないタイプの本。実に読みやすい本です。

そして真面目な中に静かな怒りや憤りもある。読み進めていきなり39ページの「この本は中学生が作った民主的読み物である」と書かれていたところで、実は泣いてしまった。

おばあちゃんが書いてくれたという題字も素晴らしいが、この「創刊の辞」で、書かれたこの言葉にグッときた!! わたくし還暦60歳。でも心はいまだ青春?!…なのか。14歳のだいじくん。いや「くん」じゃ失礼だな。川中だいじさん。その存在に感謝するしかない。

まさに真摯な記者としての態度。ジャーナリストの畠山理仁さんが言うように「民主主義」の宝。それが川中だいじさんだ。本当にピュアな視線で、わたしたちの大人社会の体たらくぶりをみている。

っていうか、私たち、ほんとに大人なんだろうかとさえ思う。単に子供が自活できるようになって、偉そうに自由を振りかざしているだけじゃないのか?

だいじさんのことを知ったのは、最初どういうきっかけだったのかはもう忘れてしまったけど、週刊金曜日の表紙に畠山さんと一緒に載った時は、もうすでにかなり知っている自覚があった。あれは良かったよね!



だからこの本を買っても特に新しいことはないかな…と思っていたのだけど、そんなことなかった。やはり知らないことがたくさんあったよ。これだから本はちゃんと買って読まなくちゃと再び思う。

だいじさん、まさに徹底した現場主義。そして実際の現場は大変だ。中学生だから、最初取材先の大人は相手にしてくれないこともたくさんある…というのは、まぁ想像できたとして、だいじさんのスタイルは、いわゆる選挙中の「突撃」取材が基本だ。だから大人だったとしても決して楽ではない。

当然学校もあるから週末しか活動ができない。突撃だから、事前アポが取れてないから、取材される方、取材する方の立場は対等ではない。圧倒的に取材する側が不利だ。

ただでさえ、萎縮するマスメディアが多い中、まただいじさんのことを鼻で笑うような態度をとる政治家もたくさんいる中、本当に彼は頑張る。負けない。

本に書かれていたことなので、ここにも書いちゃうが、実際に子供だからお小遣いからやりくりしているのだろう。お金が足りなくなったり、うっかり忘れ物をしたり、乗り慣れない路線で電車を乗り過ごして街宣に間に合わなかったり。とにかく大変さは大人の倍だ。

だいじさんが焦って走ったり、道に迷って困ったり、落ち込んだ時には、私もこの本を読みながら、アップダウンしてしまった。そしてそこにドラマティックな演出なんかない。

ただただ真面目にきちんと押さえた表現で彼は自分のことを書く。それなのに読者はなぜかだいじさんといっしょに焦ったり(心の中で)走ったりしてしまう。

ほんと落ち着いた本なのに、ね(笑)不思議だよね。本当に引き込まれるのだ。

そして実際、会えば感じがいいのに、ネットではだいじさんにひどいことを言う人とかもいる。そして嘘を平気でついたりする大人も。そういった人たちにがっかりしながらも、だいじさんは社会を諦めていない。民主主義を諦めていない。

実際、最後の章の兵庫の選挙では、結構身体に危険も及びそうになったりしてる。でもだいじさんは現場に行くことをやめない。

それにしても! だいじさんお得意の選挙取材も面白いけれど、実はかなり面白かったのは生徒会の話。こうやって(だいじさん以外の)子供は空気を読んだり、強いものに忖度したりすることを身につけるんだな、とマジで思った。いや、ほんと。学校、やばいよ。

そして適度な距離感で登場するご両親も素晴らしいと思った。「お昼から勉強すると母と約束してなんとか(外出の)OKをもらった」とかさりげなく書いてあると、そりゃそうだよなぁと、還暦おばさん読者はだいじさんよりもお母様の方に心を寄せてしまう(笑)。

一方で「悩んでいるなら行けばと母が背中を押してくれた」みたいな記述もあったりする。素晴らしい、お母さん!!! でも正直ご両親はあまり登場しない。だけどそれはすごくいいことだと思った。

そして失敗したこと(取材対象の人の顔を見誤ったこと)なども正直に書いてあるのにも、とても好感を持てた。あとインタビューの録音に失敗する、とかね。だいじさん、自分の失敗に対してもフェアである。

自分の失敗を認めること、そして謝ること。それを2度と繰り返さないこと。それが大人だもの。でも、それができない大人が本当に多すぎる!! それを子供に見られているのに!!

だから、と言ってはなんだけど、だから大丈夫。失敗は取り返せる。同じ失敗をしないように注意すれば大丈夫、とだいじさんに声をかけ励ましたくなる。

いいなぁ、若いっていい。その失敗を活かせる人生が、これからずっと長く続く可能性があるのだもの。

そして大阪の都構想やカジノ…ね。維新なんてのは、もう論外で、かつこういうの読んじゃうと、今はいいけど、当時野党だった公明党の存在とかを再び考えちゃうよね。やっぱり今でも与党の奴らにあげてた18年を返してほしいよ、と思うよ。ま、それはいいとして。

でもこの大阪都構想、カジノ問題が、だいじくんを「初めての取材」に導いていく。そんな中、とある集会から「取材に来てください」と連絡が来たり…。そんな時、やった! すごい!…と読んでいる私ははしゃぐが、だいじさんははしゃぐことなく淡々と取材に向かう。

それにしても、素晴らしい本で、国民投票のこととか、世間の一般常識が本当に足りない私が知らないことがたくさん書かれていて、とても勉強になった。

そしてだいじさん、ますます尊敬するのは、この本が出た時も(そして今も)、ちゃんとソーシャルメディアや一般メディアを駆使して宣伝活動をしっかりご自身でやられていること。昨日も毎日新聞だかの取材記事をリツイートされていた。

売れっ子の作家さんこそ、それ、きちんとやっている印象が私にはあるんだけど、特に音楽業界でできてない人、本当にたくさんいるから!(笑) そういう点でも、心からだいじさんを尊敬する。

なんだろう、やれることはキッチリやる、みたいなところも徹底していて、もしかして、こっそり(笑)マーケティングの勉強もされているのかな?って思っちゃった。

いいや、いいや、成功している人を見ているだけで、やるべきことなんて、すぐわかるよね。そして、それすら出来てない大人も多いけどね(私を含む)。

それにしても大人は…なんなんだろうね。グレタさんに対してもそうだけど、どうしてこうかね、と思っちゃう。だらけている大人は、子供の視線が怖いんだろうな、って思う。

「政治の話をするな」という学校の先生は、明らかに子供を怖がっているよね。

そして子供たちも、強い者(?)…いや、強くないな、強い態度に出るイキがっている者、だな…イキがっている者に忖度したり、自分で決めて自分で責任を取るという至極真っ当な行動を封印してしまったり。

そして、今の首相しかり強い者としてイキがったりそういうことしてるやつが自分のやりたいことを貫いてしまう。そして、それ以外は怯えて暮らしているってことになのか? なんだ、それ??

この本は、それは間違いだって言っているのだ。14歳のだいじさんに教わっているのだ、私たちは。(確か今は誕生日を迎えて15歳になられているはず>だいじさん)

それにしてもコラムなどに書いたりするのはともかく、こうやってしっかり書籍にして残すのは、とても大事だと思うし、だいじさん、おそらくこの本はこれからあなたが未来に出す20冊も30冊も及ぶであろう本の1冊目ということになるのだと思います。これからも頑張ってください!!

ちなみに表紙の写真は読売新聞提供で、かつこの本によれば怖い人にからまれただいじさんを助ける産経新聞の記者の人もいたらしい。メディアも、っていうか、メディアの人たちもいろいろだよな。

でもだいじさん、ツイッターで、電車でいきなり怖い人に絡まれたって、いつか言ってた。気の小さいやつほど、そうやって自分より弱い子供と思ってイキがったりしているわけだ。本当にこれかも気をつけて。取材がんばってください! そして私たちに色々教えてください。

◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分の主催公演や招聘はもうやりません。ただ2026年も若干の雇われ・お手伝い案件があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。

◎現在リリースしたCDの販売は終了しておりますが、書籍はあいかわらず販売しております。

アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。

◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。

◎最近はこんな応援記事を書きました。ぺッテリ・サリオラの来日記念盤@Intoxicate

アイルランド映画祭。GW明けに告知スタートしますよ。日程と場所だけ先に発表されています。5/29〜6/11までYEBISU GARDEN CINEMAにて。

ピーター・バラカン Presents 未来へのプレイリスト 毎週金曜日 ETVにて22:30から放送中。6月いっぱいまで続きます。

◎あいかわらず無印良品BGMの仕事はしております。この4月27日より昨年録音にかかわったデンマーク編が配信スタートしております。良かったら、聴いてくださいね。店頭ではすでにその2週間くらい前から流れているようですが、結構まだBGM29のスコットランドもたくさん流れますね(のざき調査による)。

 

◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中


◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。 最新インタビューをotonanoにて連載中! 

さらに今まで配信されていなかった『アナザー・グラフィティ』『妹よ』『陽のあたる場所』『愛という名のもとに』『ええにょぼ』も3月25日より配信スタートしております