映画『ブライアン・エプスタイン 世界最高のバンドを育てた男』を観てきました



観たいと思ってたのよ!! ツアー中に公開になって、早く観なくちゃと焦ってツアーから帰宅したら藤本国彦さんから帰宅翌日にトークイベントがある、とお誘いが。

普段、いやそれこそ20年くらい前からお世話になっている藤本さんから声をかけられたら行かないわけには行きません。

正直ツアーで、まだ身体中が痛い中だったので、観に行っても寝ちゃうかもと思っていましたが、実際そんなことは一切なく、最初から最後まで一瞬の隙もなく楽しめました。

まずはこの日はトークイベント。和田唱さんと藤本さんの対談が上映前に行われるという形で開催されました。

そこで話されていて「へぇー」と思ったポイントをメモ。



ブライアンは荒くれ者のビートルズと違ってソフトなイメージ。初期のビートルズは、そんなブライアンにファッションも髪型も整えられ、ちょっと「やらされている感」ありますね、と和田さん。お辞儀もエプスタインが教えたらしい、とも。(このお辞儀のシーンは映画にも出てきました。爆笑!)

ちなみに髪型については、ピートの恋人だったアストリッドのアドバイスもあったようだ、とのこと。

ビートルズは、ブライアン以前にもマネージャーがいたのだそうですが、それはハンブルグに彼らを送ることだけしてた人で、やはり世界的に大きくしたのはエプスタインだった、と。

とにかくブライアンは、純粋に彼らに惚れ込んだ。そしてブライアンは、特にジョンにはそれ以上の気持ちも持っていた。

ではジョンとブライアンは???というと、それは(おそらく)なく、ただジョンは、あぁいう性格だし、興味はそれなりにあったんじゃないかと思う、とは藤本さんの解説。「のちにTwo Virginsで裸になったりもしてますから」と。なるほど。

とにかく当時は認められていない、というか、法律的にもNGだった同性愛。エプスタインは、ポールとも気があったらしいし「男の僕でもかっこいいと思いますね」と和田さんも話してらっしゃいました。

わかるわぁ。だってミュージシャンって、やっぱり魅力的だもの。近くにいたら惚れないわけないよね。

ブライアン(1934年生まれ)は、また小野洋子(1933年生まれ)さんとも年齢が近い。果たしてまだブライアンが生きていたら、と思うこともあるけど、実際、どういうことになっていたかは神のみぞ知る、ということなんでしょうねぇ。

それにしても「マネージャー」ってすごい仕事だなぁ、と改めて思いました。最初のレコードディールを決めるシーンなど、とにかく誰に何を言われようが食い下がっていく。

私も昔はケンソー、今は作曲家:日向敏文さんのマネージャーという立場にいるわけですが…  うーん、いったい理想のマネージャーってどんな感じなんだろう、といつも迷ってばかりです。

どっちにしてもブライアンみたいに、担当しているアーティストの才能を最高に愛するマネージャーでいたいとはいつも思っています。

それはさておき!!

映画!!

いやー 本当に面白かったです。特に3週間のツアー戻りで、よく映画の詳細を勉強しない知まま観に行ったので、エミリー・ワトソンが出てきた時は、狂喜乱舞。

いや〜、大好きなんです、彼女。(彼女が出てきた映画のレビュー:『ロイヤル・ナイト』『博士と彼女のセオリー』『オレンジと太陽』でも一番好きなのは盲目の少女を演じた『レッド・ドラゴン』でした)

お父さん役の俳優さんもいいですよね(エディ・マーサン)。「Back to Black エイミーのすべて」や「おみおくりの作法」どちらも素晴らしい作品でした。

っていうか、やっぱり英国映画は素晴らしい! まずはそこです。とにかく俳優が素晴らしいです。さすがシェイクスピアの国。もう名優さんたちの宝庫ですよ、英国は。

主演のジェイコブ・フォーチュン=ロイドは、どっかで観たよなーと思いつつも思い出せないんだけど、彼が出たという「スター・ウォーズ」とかも、ディズニー映画になってから全然観てないし… でも彼も素晴らしかった。すっかり引き込まれました。

最初は時々自分でモノローグ。ミュージカルのような、映画「ジャージーボーイズ」みたいな、そういう設定で明るく始まります。

でも徐々に「ゲイであることを隠している」という心の負担が、彼の精神を蝕んで暗い雲行きに。

とはいえ大丈夫。最後は、つらいながらも立ち上がり、成功の、なんというか比較的明るい空気のまま終わっていきます。それにしても32歳で亡くなってしまうんですよねぇ、ブライアンは。ビートルズのことを本当に愛していたんだなぁ、と。とにかくそれしかないですね。

そうそうシラ・ブラックのことなども全然知らなかったけど、彼がマネージしてたんだね。映画でも描かれていたけど、ブライアンは、ビートルズ以外にも、たくさんマネジメントしてた。

ちょっと脱線。シラと言えば、これがいいよねぇ。(いつぞや日向さんに教えてもらった動画。このストリング・アレンジ、絶品です!)


シラは、ブライアンのことがちょっと好きだったのかな、と思わせるシーンがいくつかあった。そのどれもが、ちょっと心があったかくなるようなシーンだった。シラ、わかるわぁ。ゲイの男性って、本当に素敵なのよね。みんな優しくて、さ。

そうそう楽屋に来た女性?が、シラの名前を「ホワイト」と呼び間違えるシーンもあったけど、あの感じは、ちょっとメアリーからも聞いたことがある。

「ブラック」っていうファミリーネームはすごく英語話者には抵抗があるファミリーネームらしく、よくメアリーも学校のシスターたちにちゃんと名前を呼んでもらえなかったんだって。

それはさておき、ビートルズファンであれば、この映画でビートルズの4人がどういう描き方をされているかが気になりますよね。

私はビートルズは… 実は一時期までかなりのファンだった。そのことについては、時々このブログにも書いているから繰り返さないけど、「A Hard day's Night」はセリフが空で言えるくらい何度も見た。

でもなんだかお金を使うことに嫌気がさして、ビートルズのファンをやめちゃったんだよね。

その程度のファンで、最近は滅多に彼らの音楽を聞かないけれども、まぁ、それでもこの映画で、4人がどういう風に描かれるかは、とても気になっていたのでした。

まずビートルズのメンバーを再現するにあたり一番大事なのは私は実は「声」だと思う。そして「しゃべり方」。そして「演奏の時の癖」。

顔が似ているかは、ある意味、あまり関係ない。なので、この映画に出てくるビートルズのメンバーを演じる俳優さんたち、本当に心から素晴らしいと思いましたね。

もっとマニアの人は、いろいろ言うかもしれないけれど、でも表情の作り方とか、みんなすごく再現が上手で、最後ブライアンのオフィスに訪ねてきた頃には、もう彼らが私の中のビートルズになっていた。(そのシーンはこの下の動画でみれます)

そういや映画『イエスタディ』に一瞬出てきたジョンも、本当に素敵だったよなぁ。あれも、ほんとに最高の映画だった。

ただひとつ、文句と言うわけじゃなく、書いておきたいのは、Lennon/McCartneyの音楽が一切出てこないこと。(っていうか、出てきました? 出てきてないよね?)

これは権利関係だと見たけど、どうなんだろう。他の楽曲はちゃんと出てくるのだから、シンクロの権利がクリアにできず使えなかったのか。

とはいえ、「One World」(All you need is loveの中継)シーンなどは、ストリングスの代用でなんら寂しく思うこともなく、そのまま見終わった。終わって、そういえば音楽なかったよな、と感じたくらい。その頃には、充分、私は主人公のブライアンに感情移入していたから。

そのくらい作品のパワーがすごかった。

リバプールの街や、当時のオフィスやお店、ホテル、会員制のクラブみたいな場面の再現には予算が充分に使われているのがわかるし、予算が理由ではないだろう。ポールは「ブライアンは五人目のビートルズ」と応援コメントを寄せているし、まぁ、いろんな理由があるのだろう。

それにしても良い作品だった。なんだかブライアンの自叙伝も読んでみたくなっちゃった。


皆さんもぜひ。東京ではシネ・シャンテで上映しているようです。

 

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◎野崎は、現在作曲家:日向敏文さんのマネジメントおよび宣伝をお手伝いしております。
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