クレア・キーガン(鴻巣友季子先生訳)『あずかりっ子』感動がぎゅっと詰まった一冊

 久しぶりに外で撮影してみた。ベランダの梅が満開。


いやーーーーーーーーーーー!!! 映画『コット、はじまりの夏』は相当やばかったけど、本はさらにやばかった。感動。感動、感動、感動!


私はだいたいカバーを外して、お風呂の中でもお布団の中でも読書をするのだが、これは剥いても、シンプルだけどかなり素敵な装丁。

すみません、少し興奮気味です。

やっぱいいわ、クレア・キーガン!!!

まず『コット、はじまりの夏』。すべてはあの映画から始まる。あの映画、本当に大好きだった。実は劇場で3回くらい見ている。感想はここに書いた

そして、そして、これを書くと泣きそうになっちゃうんだけど、本では、この少女に名前がないんだよーーー(涙)。ないんだよーーー(涙)。それがいいんだ、そこがいい。

あと預かった方のおウチのお父さんとの海岸のシーン、私は映画では割とさらっと見ていたんだけど、本になると、ここがディープでねぇ。

いやー まだちょっと感動に震えている。そうだ、私はこういう物語が好きだったんだ。「イン・ザ・チャーチ」とか読んでる場合ではなかった。(いや、あの本はあの本で楽しくはあったのだが)

比べるのもバカな話だと思うけど、こっちの方がじわじわくる。感動がぎゅっと詰まっている。

いつまでもずっとこの本のことを考えていたい。もうずっとこの本のことだけ思っていたい。いや〜、本当にすごい。(語彙少なくてすみません)

不思議なのは、これが一人がたりの内容なのに、のちに出来たであろう映画では、まったく女の子の心の中が語られることはないこと。

原題の「The Quiet Girl」がまさにそれを表していて、彼女はほとんどしゃべったり自分の感情を表に出すことをしない。だから映画にするとなれば、ああやって黙っていることになるのだろう。だから、ただただ映画を見ている方は、彼女の心の中を想像するしかない。

そこが!!!!!(強調したい)そこが、あの映画のすごいところなんだよ。

ところが!!!!(さらに強調したい)この本では、なんと、その彼女の自分語りなんだよ!!! 映画の影響で、そっちを先に見ちゃっている私としては、どうしてどうして頭の中では映画に主演してた彼女の姿が思い浮かぶ。

こんなふうに考えていたんだ。彼女はこんな気持ちだったんだ、と。

それが意外でもあり、同時に「自分はわかっていたよ」という気持ちにもさせる。この不思議な感覚。同じ事情を内側からと外側からと見えてることが、またそれぞれに登場する彼女と一緒に見ている対象も、これまた全然違うものなんだ。

でも、結局のところ地球上のあらゆる事象って、そんなもんじゃない? 外から見たもの、見えたもの、そして内側にあるもの。全部同じじゃない。

そして最後の!!!! あの走り出すあの感じ。あそこは本当にやばかった。あの感じが、もう最高にやばかった。ここで涙、涙。涙なくしては読めない。少女は走る。あぁ、もうっっ! あのエンディング。

うううううう、ううううう…(まだ泣いている)。

私にとっては、やっぱり文字で書かれた本の方が、映像で魅せられる映画よりも感動が大きい。きっと私の頭の中の構造や理解度がそういう仕組みなんだな。ちょっとアスペとかあるのかもしれない。(是枝監督の作品ですら、私は映画よりも本が好きなことが多いもんなぁ・不思議)

そして、なんか英語でも、これ読みたくなった。

鴻巣さんの最後の解説も素晴らしい。なるほどずっと現在形で書かれていて、後戻りすることで表現をサポートすることを自ら捨てた著者の決意ある表現は、とってもリアルだ。それが彼女の気持ちの揺れなど繊細に紡いでいく。

そして少女に名前がないことも、鴻巣さんの後書きに言われるまで私は気づかなかった。そこもすごいよー すごいよー

これ映画『ダブリンの街角で』で、あの主人公の男女に名前がないことをエンディングロールで知る、みたいな体験に似ている。不思議な読書体験でもある。そこを誰かに言われるまで気づかない。それでも感動できる、そのすごさ。あらためて、そこでジワジワ感動する。

一方で、この原作からあの映画を立ち上げた監督も大尊敬だ。映画が好きだった人、この本、同じくらい好きになるよ。そういう私は、実はすでに、本の方が好きになっちゃったけど(笑) でもあの映画も最高だよね。もう一度見てみよう。

それにしてもこの本、すごく短くて、無駄がいっさいない。あっという間に読めてしまう。2時間かからなかったかも。

さてここのところ私にしては珍しくフィクションが続いた。この次はパンチのあるノンフィクション読もうかな… あぁ、読書ってやっぱり素敵。

やばいな、クレア・キーガン。全部翻訳されないかな。もちろん鴻巣先生で。

   

◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろすことにしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分で作る主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ・お手伝い案件(笑)があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。これからはのんびりと。

◎で、さっそく2026年のお手伝い案件。今話題の(?)のグリーンランドからナヌークがグリーンランド自治政府のサポートを受けてやってきます。もちろんこの企画半年以上前から決まっていたのですが、当初11月にやる予定が、2月になりました。

2月25日(水)、26日(木)、南青山の「月見ル君想フ」にて無料(しかし要登録・ドリンク代700円)のライブがあります。詳細、ご登録はここで。昨日から受付開始してますが、すでにかなり埋まってきました。バンドでの演奏が聴けるのは、このライブハウス公演のみです。

 

◎そのナヌーク関連で、2月24日には恵比寿のYEBISU GARDEN CINEMAにて、『サウンド・オブ・レボリューション グリーンランドの夜明け』を上映。そこでナヌークのトークイベントとアコースティックセットでちょっとしたミニライブもあり。詳細はここ。MC通訳は大好きなキニマンス塚本ニキさん。チケット発売は2月4日。劇場のサイトにて。

 



◎そしてナヌークは23日、高円寺こんなイベントにも出演します。詳細はこちらのサイトにのちほど掲載予定。気象神社で、グリーンランドの音楽を聴きながら気候変動を考えよう! こちらもアコースティック・セット、入場無料。


◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中


◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが2月に35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。

◎ショパンコンクールのドキュメンタリー映画『ピアノフォルテ』のPRのお手伝いしております。東京での上映は一旦終了しましたが、これから公開になる地域もあるようです。みんな見てね! 公式サイトはここ

◎アイルランドのフォークホラー(?)映画、2月6日公開。 映画『FRÉWAKA フレワカ』詳細はこちら