前作に引き続き、稲田さんの本2冊目。またもや最高に面白かった。前作も、まさに本を取り巻く現状がしっかり言語化され、それは痛快なのだが、読むとくらーくなりつつも、ちょっとだけ希望が見えていた…というのがざっくりとした感想だけど、今回もそんな感じだ。
いや、実際、希望があるのかはわからないけど、若い人たちは、私が想像する以上に幸せにやっていけているのではないかと思う。
年寄りがあれこれ心配しなくてもいいように思う。そもそも「頭がいい」とか、そういうことの概念が変わってきているのだ、と稲田さんはこの本で指摘する。
今は確かにペーパー試験で上になった人たちが日本を牛耳っているので、そういう人たちに理解されるよう、文字が読めて、読解力のある人材が重宝されるけれど、もうそういった時代も終わるのだ。つまりはそういうことだ。
でもそのことで本を読む人が少なくなってしまうのは、もったいないよねぇ。
逆に私なんか、ちょっとASD??の傾向があるのか、文字にならないと理解できないところがある。実はきちんと言語化できないもの=自分の頭で理解できていないという自覚がある。音楽の仕事してきたのに、それはないだろうと思う。
が、音楽を作る側だったら、それは重要だろうが、私の場合はそれを「言語化」して「人に伝える」仕事だったから、まぁ、私のそんな欠点も良い方向に使われた…のかもしれない。
そんなことも考えた。
…と言い訳しつつも、辛いのは、語彙が少なくて、自分でもいやになっちゃうことなのよ。こうして文章を書いていてもね。
でも私の文章、熱量は伝わってるよね。よく言われたよ、野崎さんは熱心にやっているって。不思議なことに、私の熱心さに対して疑いを持つ人は少なかった。Lucky Me! 自分では結構さぼってた感もあるのだけど。
話がそれた。いずれにしても最近の傾向として、本はお金も時間もある人の趣味だと若い人は理解しているらしい。読書は貴族の嗜みか?!
そして本を読んでいる人は、本を読んでる自分が大好きだということも。(これ、私も自覚ある!! 自分大好き! 本音!・笑)
でもモヤモヤと考えていることを、きっちりと言語化してくれる本が、私は大好きだ。頭の中が綺麗に掃除されて整理整頓される気がするから。
だからノンフィクションばかり読んでいるんだろうなぁ、というのは思った。そしてそれらをガンガン読んで、ここにブログを書いて、さて次を読もう…という一連の流れを繰り返していることに、自分でも疑問が湧かないでもない。
もしかしたら私は単に活字を消費しているだけではないか? 食べ物を食べるみたいに?
わからない。
しかしこの本、自分にとってもホットなトピックだということもあって、スイスイ読めた。新書はいいよなぁ。短い中に、ぎゅっと濃厚なインフォメーションが詰まっている。
しかし本が売れない、売れないといわれて久しいけど、ハリーポッターとかすごかったわけだし、今だってメガチャーチ本とかすごい量の人に読まれているわけで…
紹介されている出版社の営業担当の言葉。「今の若者にはマーケティングが効かない」というのも、考えようによっては良いことかもしれないと思った。
それでいいんだよ。それでいいと思う。本来、本なんて著者が自分野好きなものを書き、気ままな読者が気に入れば、それがもうそれなのだから。もうマーケティングなんてしなくて。
特に音楽や本みたいな「芸術」は、もう狙って当てられるものでもないように思える。
日本は、消費者が力を持ち過ぎているというのは、海外から来た外国人にもよく指摘されること。つまり供給する側は、消費者に好かれようと必死になり、自分の力でなんとかしようとし過ぎているように思う。
もっとシンプルでいいのだ。宣伝なんて関係ないよ…と言いつつ、この部分が思い切ってぶった斬れないのがスタッフとしての自分のつらいところなのだが。だって宣伝が必要だから私のところにもPRの仕事が来たりするわけで。
そもそも大衆の心を動かそうという「宣伝」「マーケティング」が無力なのかもしれない。
本来なら…特に音楽なんて音楽自身の力でなんとかなるのが本来の健全な状況なんだろうなとは思う。宣伝とか、世の中への露出具合とか、全く関係なく。
何はともあれ。この本、すごく売れているようだ。それは良かった。稲田さん、次作にも期待しています。
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◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分の主催公演や招聘はもうやりません。ただ2026年も若干の雇われ・お手伝い案件(笑)があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。
◎現在リリースしたCDの販売は終了しておりますが、書籍はあいかわらず販売しております。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。
◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。
◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中。
◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。 最新インタビューをotonanoにて連載中!
さらに今まで配信されていなかった『アナザー・グラフィティ』『妹よ』『陽のあたる場所』『愛という名のもとに』『ええにょぼ』も3月25日より配信スタートしております。

