小林美穂子&小松田健一『桐生市事件 生活保護が歪められた街で』を読みました

 


やばい。これも読んでおきながら、かなり長い間放置してしまって、感想を書くのを忘れてしまい、今や内容もちょっと忘却の彼方かも。

でも自分の備忘録用に感想をメモっておく。

いやはや、びっくりする内容の本だ。生活保護対象者に1日1,000円!とか勝手にやっていた市役所。大きなニュースになったので、この話は知っている人も多いだろう。

実際、どういう状態だったのか。本当に毎日受給者を日参させていたり、ひどいパワハラ言葉をあびせたり、まさに正常な状態ではない。が、この状況にずっといると、そういった感覚も麻痺してしまうのかもしれない。

確かにお役人というのは、単にその仕事をしているだけなのに、妙にえらぶっている傾向がある。なぜだろう。公務員試験に受かったから?(笑)そんだけ?

この本にはその実情と、なんとかこの状況を変えないといけないと奮闘する人たちの姿が描かれており、心を打つ。

が、しかし厳しいことを言っちゃうと、私が知りたかったのは、「なぜ」こんなことになってしまったのか、ということをもっと詳細に知りたかった。

いや、それは全人類、ほおっておけば、こうなるもんなんだ、というのはある。自分にも経験がある。例えば仕事で知り合う人たちだって、ある種の権威を与えられると急に偉ぶる人(主に高齢男性)にはよく出会う。特に公の場。公務員の人たち。

「あんたの施設じゃないでしょ?」「それは税金払ってる市民のものでしょ?」「あんたなんか、このポジションにいなければ、誰も相手しないクズ人間でしょ」「あんたの会社なの?」みたいな場面にはいくらでも遭遇する。

そんな相手には頻繁に出会う。特に私がチビで高齢の女だから舐められているのかもしれないが。

日本人特有かもしれない。外国人は…というと大雑把だけど、私が遭遇するヨーロッパの小国の人々はおしなべてもっとフラットだと思う。っていうか、心の中ではフラットではないけれど、一応表面上、おおっぴらに威張る人はいない。それはかっこ悪いことだから。

でも日本人は、違うよね。偉ぶること、権力を振りかざすことに恥も外聞もない。

そのくせ、最初知らない人に対して、まずはものすごく警戒する。ちっちぇなぁ!(笑)そして相手が大丈夫な相手だと思ったとたん、急に馴れ馴れしくするなど距離感がバグる。そういう人が多いと思う。

特に外国人に対して、その態度が現れることが多いと思うけどな。どうなんだろう。まぁ、自分もそんなところがあるかもしれないので、人のことは言えないけど…ね。

だから生活保護受給者が窓口にやってくると、相手は自分より立場が弱い人という視線でその人を見る。そして、まるで自分が自分のポケットマニーを与えているような気持ちになってしまう人がいるのは、なんかわかるような気がする。それじゃ、絶対にいけないのだけど。

例えば今の総理。権力を手にして、それを最大級に振りかざしているけれど、それとまるで一緒だ。まるで。

例えば中東問題。一つ一つの国を見ているとわかる。権力を得たものは、とにかくそれをキープすることに全力で取り組む。それと一緒だ、それと。

そんなふうに人類全部その傾向はあるにせよ、桐生市、捺印を捏造までしてたわけだから、相当に悪質だわ、これ… やっぱり一線を超えている。犯罪だよ、それ。

とはいえ、再度言うけど、本としては、もう少し「なぜ」こんな状態になってしまったかが描かれていると良かったのかなと思った。とはいえ、日々徐々にこういう状態になっていったんだろうから、難しいか… それに本当に市民全員がある意味、これに加担していた部分もあるわけで。

自分が威張っていなかったとしても、威張る人を放置したり、そういう人に対して忖度したり、とか。想像できなくもない。

と同時に、この本をまとめた著者には敬意を表したい。特に志半ばで倒れた方がいたことは、本当に心中察してあまりあるものがある。

もちろん最近は逆に市民側からの「カスハラ」など理不尽な目にあっている職員さんも多いことだろう。

誰もが健全な人間関係を保つことは得意ではない。イーブンな関係など、なかなか構築できない。が、イーブンな関係を目指し、努力を怠らないように… ということなのだと思う。

生活保護といえば、この映画のことも思い出した。ものすごい映画だった。いろいろ考えるにつけ、心が痛い。なかなかいろんなことがうまくいかないね、人間って。

いや、でも間違っていることは、指摘していかないといけない。実態をあばいたことだけでも、すごいと思う。

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