読んだ。すごく良かった。私は普段は滅多にフィクションを読まないのだけど、これは私が読むタイプのフィクションだ。
こういうのが読みたいの、こういうのが!! まさに「人間」を直球で描いているパワフルなフィクション。イシグロ的な。と思ったら、同じノーベル文学賞作家だった(笑)
というわけで、ヨン・フォッセです。
この本を手に取った…じゃない通販で取り寄せたのは、
こちらに書いた経緯から。でも届いてびっくり。本当に素敵な装丁なんだもの!!!
それにしても、いったいどんなにマニアックなところが装丁担当かなと思ったら、最近の「メガチャーチ」とかもやってる
アルビレオというデザインオフィスさんらしい。このルーン文字風の英文…もといノルウェー語…のフォント!!!
そして、この印刷に予算かけた感のある重厚なカバー。すごくないですか? 金文字(特色?)がボコボコした印刷になっている。この写真で、分かるかな…
そしてカバーイラストはノルウェーの、著者と同じノルウェー西海岸を代表する芸術家、ニコライ・アストルップですよ!! 素晴らしくないですか?
本当に著者と一体化した世界観。このキャスティング、素晴らしすぎる。
ちなみにアストルップは、今度の冬にステーションギャラリーに来日します!! 詳細はここ。
愛だよー、愛!! 翻訳者と出版社の愛だよね。
図書刊行会さん、素晴らしい。
ページを開いて、まず素敵。この右側のページなんて言うんだっけ。「見返し」だ。「見返し(遊び)」! 「扉」との色のバランスセンスが最高。
私はだいたいカバーを剥いて読むんだけど、中身も素敵。これすごくないですか。
…すごい、素敵な装丁と思ってたら、なんとダヴィンチの「装丁惚れ」でも紹介されたらしい。すごい!
そして肝心の内容です。シンプルに説明すればこれです。これ。
だけど、その内容がすごいのだ。伊達さんも講演で話されていたのが、このフォッセの独特の文体。句読点がないのよ!! 句読点が!(下の画像参照)
そして、ぐるぐる回る感じ。繰り返す感じ。それが書かれている。
内容は一人の男の人生の最初(母の身体から離れて独りぼっちになった…みたいな感覚の描写がすごい)、そして終わりのところ(カバーに書かれた説明を読まなくても、あっ、これは死んでいるにちがいないと、すぐ感じられる)。すごいです。これは!!!
でもって、こんなに特殊な文体なのに全然読みづらくはない。これは伊達さんのすごい技か。
特に2章は圧巻で、死ぬってこういう感覚かもしれないというのがリアルに伝わる。(いや、実際、全身麻酔3回体験した私からすれば、死ぬのはストンって感じだと思う ← 興醒め発言・情緒なし・現実主義者・笑)
そして!!! 上の写真のように、またもや本文部分を写したのには、この本、本当に読んでほしいからなんです。ご覧のとおり、この行間のピッチですから、短いです。
とにかく全然長くない。短編ではないと思うけど… 中編かな。薄いんですよ、この本。あっという間に読めちゃう。1日で読めちゃう。上の写真みたいな、こんな調子で全部でたった140ページ。
そして伊達さんが話してらした「西へ、西へ」という感覚。良いことも悪いことも西からやってくるという、そのノルウェー西海岸の感覚が、この本を読んでやっとわかった!!(気がした)!
なるほど、これはノルウェー人、特に西海岸に住むノルウェー人の魂の作品だと思う。
これ、映画にならないかな。めっちゃ素敵な作品になると思うけどなぁ。いや、でもこの本が描く強烈なビジュアルは、自分の心の中だけにそっとしまっておきたい…かも…という葛藤も。これは間違いなくプラチナ本棚行き決定。
ノルウェーとは、特にノルウェーの西海岸とはいったいどんなところか。何を見せられるより、この本の中にぎゅっとすべてが詰まっているという、すごい読書体験でした。
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◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分の主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ・お手伝い案件があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。
◎現在リリースしたCDの販売は終了しておりますが、書籍はあいかわらず販売しております。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。
◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。
◎アイルランド映画祭、今年もやりますよ! ぜひご来場ください。5月29日よりYEBISU GARDEN CINEMAで2週間。毎日19時から。詳細は公式サイト:irishfilmfes.jp 公式X:@irishffjp まで。
6月9日にはドーナル・ラニーのドキュメンタリーの映画上映と、ピーター・バラカンさんの解説あり(野崎は聴き役として登場予定)。予約開始はまだ先ですが、今から予定しておいてください。
◎最近、こんな応援記事を書きました。ぺッテリ・サリオラの来日記念盤@Intoxicate◎ピーター・バラカン Presents 未来へのプレイリスト 毎週金曜日 ETVにて22:30から放送中。6月いっぱいまで続きます。
◎あいかわらず無印良品BGMの仕事はしております。この4月27日より昨年録音にかかわったデンマーク編が配信スタートしております。良かったら、聴いてくださいね。店頭ではすでにその2週間くらい前から流れているようですが、結構まだBGM29のスコットランドもたくさん流れますね(のざき調査による)。
◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが35周年記念のリイシューされることになりました。
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