雨宮処凛『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』を読みました 


未来に対する不安や恐怖は誰でもあると思う。私も怖い。いったいどうなっちゃうんだろう、と。特に今なんて日本の未来が怖い。が、そんな私達を助けてくれるのが情報であり、知識なのであった。

親が介護が必要な年齢に差し掛かり、THE MUSIC PLANTを閉めて、なんとなく私も新しい人生を歩みはじめている。それに、このタイミングで、親もいよいよ弱ってきたので、毎週一度は実家(といっても千葉なので、東京駅から1時間くらい)に通ったりもしている。

そういう年齢になったのよねぇ。

というか、うちの親はすごい。93と86だったかな…。驚異の生命力だ。私はあんなに長生きしたくない。あと30年も生きるだなんて、想像しただけでも疲れちゃう。

おそらくだけど、身体もしんどくなって何もかも面倒くさくなっても生きるのは、周りの人のためだと思う。やっぱりなんだかんだでお迎えが来るまでは生きているしかない。

随分前だけど長い入院していた時、相部屋にいる80overのおばあちゃん。大手術を受けるのに孫がお見舞いによくやってきていた。「おばあちゃん、がんばって」と孫に言われれば、手術しないわけにはいかないだろう。

生きているのは自分のためではない。人のためだ。人生は大変だよなぁ、と思ったりする。

しかし両親がそういう年齢になってきて、長女としては、いろいろ国の制度などを調べたり、あれやこれや考える日々の中で、自分が病気をした時も思ったけど、国の制度というのは、本当によくできているなぁ、と思う。

皆さん、ちょっと社会のことを勉強するだけで、思ったより大変じゃないことがわかりますよ。そういう意味では必要以上に心配する必要などないんだな、ということは常々思う。

なんか私たち国民は(主語がでかい!)、国は何も面倒見てくれないだろうという認識でいたが、いやいや、なんのなんの… 確かに不安な部分はあれど、かなり良く出来た制度が構築されてもいる。

ストーリーとしてメディアに取り上げられるのは、本当に極端な人々であることも多い。

もちろん、自分もそういう社会の溝に落ち込まない確証はないわけだから、よく勉強しておくべきではあるのだけれど(あっ、また「べき」って言っちゃった!)、例えばガンの生存率だってそうだよね。変な治療法に走る人を除けば、数字はもっと上がるんじゃないかと思う。

まぁ、よくあることなのかもしれないが、国民は国を信頼していない。ま、国も国民を信じてないけどね。そして、こんなに政治家の失態や「ずる」が続けば無理もないことなのかもだけど。

実際、うまくできているなと思う制度が多いのと同時に、しかし決定的にダメな点もあったりするわけで…。

それがこの本でも私的されているように、生活の困りごとを一元的に面倒見てくれる場所がない、ということ。

だからあっちへ行き、こっちへ行きで、制度を利用することはとても大変なのだ。そうやって多くの人は諦めてしまったり、これはダメだと絶望したりするんじゃないかと思う。でもそれも最近では自治体が頑張っていたりもする。私がこういった制度を必要とする頃には。もっと良くなっている可能性もある。

と同時に、こういう本が出たり、日々の制度を改革して、少しでもなんとか良いものにするべく努力してくれている誰かがいるのだ、ということも噛み締めたい。それが素晴らしいね。(とか、書くと、どんだけおめでたいの、お前は!とか言われそうだけど)

いずれにしても、今困ってなくても、ざっと読んでおくといい。もしかしたら5年後には一家に一冊。いや、もしかしたら大きな変更があって、また雨宮さんにこの本のVer.2を書いてもらうことが必要となる日が来るかもしれない。

例えばお金:お金がまったくなくなったらどうするのか。餓死するしかないのか? いや、そんなことはない。でも生活保護って具体的にはどんな感じなのか。ブラックリストに載ったとしても携帯は持てるのか? 生活保護もらっててもペットと一緒にいられるのか…等々。

仕事:その突然の解雇、泣き寝入りしなくていいんだよ、とか。そして心強いのが「労働問題で争いになった時は、8割方、労働者が正しいということも覚えておいてください」と言う関係者の言葉。心強すぎる!! そうなのよ、意外と世の中の社長さんたちって、常識ないことが多い。

親の介護:こんな制度もあるよ、とか。大変だったという人が声高に語るから「大変だ」と思う人も多いけど、でもいや、まさに今勉強してるけど、すごいなと思うこともしばしば。昔はこういう制度もなく全部自分たちでやっていたと思うと怖すぎる。

健康:高額な医療費がかさんでしまった場合、どうすればいいのか。私はだいぶこの制度に助けられた。健康保険を毎月払っていれば大丈夫。確かに大変だけど、乗り切れないわけじゃない。

トラブル:人とトラブルを起こしてしまったら、どうすればいいのか。意外とそういうベーシックなことって知らなかったりする。

死んだ場合:一人住まいの私は「孤独死」の可能性も高い。というかギリギリまで一人で生きてたら、間違いなくそうなるだろう。どうやったら腐乱死体になって人に迷惑をかけないように死ねるか。そんなこともこの本には書いてある。

そうそう、ちょっと「付録」的な感じで有名なLOFTの平野さんの高級老人ホームの話題も取り上げられている。

そもそもライブハウス経営って、そんなに儲かるんだ…というのはともかく、いろいろ考えさせられるエピソードだ。

何が起こったかについては、あちこちに書かれていることなので、興味ある人はググればいいと思うのだが、ほんと人は誰かを応援してなんぼだなと思う。誰かを応援するから、人生は楽しいのだ。

私も今、還暦で、今回自分が借りているマンションが5年契約なので、何か言われるかなぁ、とビクビクしていたのだが、とりあえず70歳になるまで、あと10年一人暮らしが出来れば、それで自分の人生は十分合格と思っている。

 そして切に願うのは、こういった社会の「困った人を助ける」システムが本当にしっかり維持されていきますようにということだ。

そして問題点があったら、解決していける国民でありますように。どうか国の制度が後退しませんように、ということだ。実際、後退する可能性も、現政権下では大きいだから、ほんとに怖すぎる。

私の場合、読み終わった本はほぼ95%が古本屋行きなんだけど、この本はなんか心の安全弁として持っておこうかな…  本棚の中の積読を減らしたいのだが、全然減らない。

◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろし、公式サイトは近日中にアーカイブ化予定。自分の主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ案件があるので、そちらはゆっくりとやっていきます。

◎よく聞かれるので、ここに載せていこう。最近観た中でベストな映画はこれベストな本はこれです。

◎現在CDの販売は終了してますが、書籍はあいかわらず販売中。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。

◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。

◎アイルランド映画祭、今年もやりますよ! ぜひご来場ください。5月29日よりYEBISU GARDEN CINEMAで2週間。毎日19時から。詳細は公式サイトirishfilmfes.jp  公式X@irishffjp まで。

6月9日にはドーナル・ラニーのドキュメンタリーの映画上映と、ピーター・バラカンさんの解説あり(野崎は聴き役として登場予定)。予約開始はまだ先ですが、今から予定しておいてください。


◎最近、こんな応援記事を書きました。ぺッテリ・サリオラの来日記念盤@Intoxicate

ピーター・バラカン Presents 未来へのプレイリスト 毎週金曜日 ETVにて22:30から放送中。6月いっぱいまで続きます。

◎あいかわらず無印良品BGMの仕事はしております。この4月27日より昨年録音にかかわったデンマーク編が配信スタートしております。良かったら、聴いてください。店頭ではすでにその2週間くらい前から流れているようですが、結構まだBGM29のスコットランドもたくさん流れますね(のざき調査による)。

 

◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中


◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。 最新インタビューをotonanoにて連載中! 

さらに今まで配信されていなかった『アナザー・グラフィティ』『妹よ』『陽のあたる場所』『愛という名のもとに』『ええにょぼ』も3月25日より配信スタートしております