ちょっとこれはマジでヒットするかも!と思わせてくれるシュールなブラックコメディ的作品。なんつーか、カウリスマキをもっとポップにした感じ? とか言うと褒めすぎ?
プレス資料には「ヨルゴス・ランティモスやリューベン・オストルンドを彷彿させる乾いたユーモア」とある。私は実は両監督とも作品を良く知らず。でも映画詳しい人なら、この不思議な空気は、これで説明がつくのかな。
あ、今、ググったら出てきた。…ヨルゴス・ランティモスは、あの『哀れなるものたち』『聖なる鹿殺し』の監督ね。なるほど。確かにそうかもしれない。
そしてリューベン・オストルンド。なるほどあの雪崩の映画ね!(『フレンチアルプスで起きたこと』) あれは最高に面白かった。確かにそういう気の利いたブラックユーモア的なところはそうかもしれない。
そんなわけで、この監督、とにかく面白かったし、なんといっても長さも完璧な102分。映画はこうでなくっちゃ。私はこういう作品が好き!
監督はオーストリア(カンガルーはいないよ!)はザルツブルグ出身のベルンハルト・ヴェンガー監督。長編はこれが初めてという新しい才能だそうです。92年生まれ。
主演俳優さんもキャラがいい。こちらはドイツ生まれの、数々の受賞歴もあるベテランさん。でも85年生まれ。
そもそもこの主人公の設定が最高で、なんというか「レンタル・コンパニオン」を仕事にしている主人公マティアスというのだが、これがなかなか笑えるのだ。
あちこちから仕事をいただき、それをプロフェッショナルにこなしていくマティアスだが、だんだん現実と嘘の境目がわからなくなり、意識が破綻していって…
たとえばパイロットの制服着て男の子の授業参観に行ったり(このシーン、爆笑)、教養ある恋人のふりをしてアート・イベントに同行したり(セリフが気が利いてる!)、デート中にヒーローになりたい人のためのチンピラ(爆)を演じたり。
とにかくあちこちで爆笑で、試写会場からも時々笑い声があがっていたのでした。(オーストリア人の関係者がいたのかな?)
そして結構な映像美でもある。場面場面の色味とか、とってもポップだし、スタートのゴルフ場での大火災も、なんか可笑しい。お家が映し出されれば、そのインテリアもかっこいいし、温室の中のコンサートなんて設定もイカしてる。
そんなシュールな作品なんだけど、ストーリーもしっかりしており、最後にこれまた爆笑、いや、笑っていいんだろうか的なオチもあり、ある意味悲劇的な要素もあるんだけど、それを含めて、笑えるうちは、まだ私たちは正常なんだろうかと確認したりもする…
ほんと人間って馬鹿みたい。くだらない見栄を張って、嘘を重ねて、いったいどうしろっていうんだろう。
7月24日、都内ではヒューマントラスト有楽町、新宿武蔵野館、UPLINK吉祥寺などで上映。ぜひご覧ください。
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◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろし、公式サイトは近日中にアーカイブ化予定。自分の主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ案件があるので、そちらはゆっくりとやっていきます。
◎よく聞かれるので、ここに載せておこう。最近観た中でベストな映画はこれ。ベストな本はこれです。
◎現在CDの販売は終了してますが、書籍はあいかわらず販売中。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。
◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。
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