装丁もかっこいいんだよね、高野本は… |
一応宣伝のプロとして言わせてもらえれば(笑)やっぱりこういう感想文とかレビューって、巷でパブリシティとかが他の記事が出ている時期に書かないと宣伝効果が半減なんだよな。人間は、宣伝を4回見かけると、その商品が存在することを覚える…って宣伝の鉄則なのよ。だからいろんな記事やパブリが出ている間に、このブログの読者の方にも見てもらわないといけなかったんだけど。 今さら、私が一人でレビュー書いてもただでさえあまりない宣伝効果が、ますますないだろうと思いつつもベター・ザン・ナッシング。自分の備忘録用にも書いておきます。
これ週刊文春でずっと連載してたものをまとめたもの。タイトルがいいよね。「やばそうだから食べてみた」。帯のキャッチから何から、高野さんが考えたんだろうけど、本当にイカしてる。本が持ってるワクワク感が、見た目でもバッチリなのよ。高野さんって出版プロデュースに向いてるんだよなぁ…そして我々は知るのであった… 食卓こそ最後の秘境であったのだ、と。
いや〜、こんなもん食べちゃうんだ、ってすごいものから、本当に美味しそうなものまで、いろいろ紹介されている。とにかく爆笑。高野さん、ありとあらゆるものを食べてきた。で、「子供のころから胃腸が弱く…」という書き出しの文章からもわかるとおり、お腹が強かったりするわけでもないから、ちょっと笑える展開になったりするのだ。子供のころは好き嫌いも激しかったらしい。それが例のムベンベ探しでコンゴに行って、ゴリラ食べて人生が変わったらしい。
私も病気して一時期何も食べれなくなって、そして再び食べれるようになって、ちょっと今、過食気味で、食欲を抑えるのに必死なんだけど、食べることってそんな風に人間の欲望とか本能に直結してるんだわな。食べてると自分が生きてるって思うし、身体の中は大自然って思うし、食べものは音楽や文学より重要な文化の基本中の基本。異文化に対する好奇心の最先端を行くのが、食文化なわけだ。そんなことが堅苦しくなくギュッとつまった名著である。これは必読。
さてわたしだったら、これらを食べれるかと聞かれれば、絶対に無理だろうと思う。北欧好きの人がみんな大好きなサルミアッキやリコリスも大嫌いだし、英国圏のブラックプディングもしばらくは食べれなかった。(今は比較的好きである)
特に一番怖いと思ったのはアマゾンの「口噛み酒」… 人が噛んで吐き出し時間がたったものなんて…卒倒しちゃう。でも高野さんたちの場合、それよりも好奇心が強いんだと思う。でもこの口噛み酒の制作の様子がちょっと官能的と説明する高野さんの気持ちもわかる気がする。あぁ、怖い。でも怖いけど見たい… そんな感じだろうか。
週刊誌の連載だったこともあって…というか、他のありとあらゆる高野本にあるとおりスイスイ読めちゃうポップな本。よく本読めない、って人に会うけど、そういう人は高野さんの本から読むといいよ、といつも勧めている。高野本はいつも私たちに違う地平線を見せてくれる。前の納豆本とかもそうだったけど、人間の好奇心ってすごいなぁ、と思うのだ。高野さんもすごいけど、その高野さんが人気もんだってのが、すっごく私は嬉しい。ここを読んでる皆さんにも、高野さんと一緒に探検することをぜひぜひ体験してほしいんだよね。ま、屁理屈うんぬんより何より、とにかく面白くて楽しいから…!!
それにしても知らないことを知るって、なんて楽しいんだろう。そういう好奇心が私たちを引っ張ってきた。古い人類が太陽をもとめて東へ東へと旅したように… 私もみなさんに新しい音楽聞いてもらうために努力せにゃあかんなぁ。
あ、そうそう、ウチもお世話になってるサラーム海上氏登場の「マントゥ」も登場するよ。トヨタ式制作秘話に大爆笑。こちらも要チェックだ。
PS
最後にすみません、ミーハーな話なんですが、この本、実は私も登場するんです。私? そう野崎も… 221ページ参照。本当に好きな作家さんの本の中に入れたなんて、夢のようだ。スウェーデンの缶詰を荒川土手でオープンする回に登場。特にこの日、家政婦役で合流してくれた同じく高野さんファンの後輩のカサイが大活躍。文章の要になる良い発言をでかしたぞ!!! ちなみに私は怖くて全然食べれませんでした。みんな勇気ありすぎるよ。この回が文春に掲載された時、高野ファンの二人して本気で狂喜乱舞したのでした。本当にこれは一生もんです。あれは2017年の一番の思い出になりました。その日のことは私のエイプリル・フールのネタとして、このブログに書いてあります。内容は嘘でも高野さんとの写真が本物なのがいいでしょ? またやりたいなぁ〜。文壇バーのマダムを目指す野崎…。
あ、そうだ、高野さんといえば、清水先生とのラブラブ対談であるこちらが最近文庫化されたので、まだ読んでない人は要チェックです。楽しいよ〜。この本に関する私の感想はここ。