映画『美しく、黙りなさい』を観ました

試写で拝見しました。ありがとうございます。なんと言うか、覚悟がある作品です。そして、同時に、ものすごく興味深かった!

原題は英語で言うところの「Be pretty and Shut up!」つまり「可愛くしていろ、そして口を閉じろ」と言う意味。

1958年にリリースされた、ミレーヌ・ドモンジョやアラン・ドロンが出演した同名の映画があるのだけれど、その邦題はちなみに『黙って抱いて』というものだったらしい。(1960年には同名の曲をゲンズブールが作詞作曲しているそう)

それをもじって、本ドキュメンタリーのタイトルにした自身女優でもあるセリッグ監督の覚悟が感じられる…


50年前に作られた貴重なフィルムをボーヴォワール視聴覚センターとフランス国立図書館が修復して、2023年にフランスで公開されたものが、やっと日本に来た…というわけです。

ちなみにこのボーヴォワール視聴覚センターの設立にはセリッグも創設者の一人として関わっているのだそうです。このセンターは女性の歴史についての映像を保全し普及することを目的としているんだって)

日本では配信やテレビパッケージ化はなく、劇場や自主上映のみの作品となっているらしいので、ぜひみなさん、劇場に足を運んでください。

めちゃくちゃ低予算で作られた「フィルム」ではあるが、復元にとても手がかかったらしい。次々とフランスやハリウッドで活躍の女優さんたちが出てきて証言する50年前のパワフルな記録。

映画本編が始まる前に説明があるのだけれど、音声も画像も正直かなり不安定だ。

実は私が知っている女優さんはジェーン・フォンダくらいしかいなかった。

しかしみんなの回答は、そのすべてが興味深い。

質問は
(1)もしあなたが男性だったとしても、この職業を選びましたか?
(2)他の女優との友好的な場面を演じたことがありますか?

『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』は英国のとある権威あるメディアが選ぶ「歴史上最も重要な作品」を長年トップだった『市民ケーン』や『めまい』を押さえて女性監督として初めての一位をゲットした名作なんだそうです。

で、よくよく調べてみたら、この『ジャンヌ・ディエルマン』については、こちらのNoteがとても詳しいですが、なんとものすごいメッセージ性のある作品のようではありませんか。すごいな、こんな作品があったんだ、と。

で、この映画に出演したことがきっかけで、主演女優はカメラの反対側に立つこと=撮る側に回るを選んだ、とこういうわけです。

ちなみに絶好のタイミングで『フランス映画の現在をめぐって』という特集上映が日仏学院で開催され『ジャンヌ・ディエルマン』も上映されるとのこと。なんと制作の裏側を描いたドキュメンタリーも。こちらの詳細については、このサイトへ。

さてさて映画を見終わって、面白かったのは、この試写が終わった後、次の場所へ友人二人と一緒に移動したのですが、そのメンツ(全員女性で事業主)で語り合ったのだけど、他の二人も「女じゃなかったら、この仕事してなかった」という答えに達しました。

特にそのうち一人は「女じゃなかったら独立の必要はなかったよな」とも言っていた。

まぁ、でも特に私なんか「ミュージシャンの面倒を見る」ということで「お母さん的な要素」と結びついているのは自分でも自覚あるから、絶対に女性であったメリットはあるんだろうし、それが生かされた職業だったなとも、自分で分析しているんだけど、どうなのかな。

そして、これは書いておきたい。びっくりしたのはジェーン・フォンダがフランス語、ペラッペラだということ。映画詳しい友人によるとフランス人の彼氏がいた時期もあったそうで、さっすがー!!としか言いようがない。

とにかくあまりにもナチュラルで上手で、全然違和感ない! でも時々「あれ、なんて言うんだっけ」とかそばにいる人たちに聞いてもしてたりするんだけど、フランス語。そうか、すごいな。

そして、もうびっくりなのが映画『ジュリア』の裏話。あれは70年代の、女性の友情を描いたすごくパワフルな作品だと思うし、あんなにすごいビック女優二人の映画だというのに、裏ではそんな話があったとは!!とびっくり。

この映画、女性にも観てほしいし、若い女優さんたちに観てほしいんだけど、日本では難しいかなぁ、とか思っちゃう。この映画を見にいった、ってことだけで、周りの目がやばい? 

それにしても女優という、ある意味、容姿に対する言及なども避けられない立場にある者として、そこに存在しているわけで、そりゃあ、内側ではいろいろ考えちゃうだろうなぁ、と思ったりする。

そうそう、リリアン・ヘルマンとかあの辺が好きな団塊のおじさんたちもアート業界に多いから、その辺の男性にも観てほしい。7月24日より文化村のル・シネマ他で公開。





ちなみに『ジャンヌ・ディエルマン』はこんな感じの映画。すごいね、25歳の女性監督が勇気を出して撮影したんだって。


私たち女は本当に、数々の、こういった私より前に生きてきた女性たちの努力があったことを噛み締めないといけない。この映画、たくさんの人に見てほしいな。

PS
しかしこういう映画を見るにつけ映像のアーカイブがどんなに大事かわかる。こちらもぜひ。

◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろし、公式サイトは近日中にアーカイブ化予定。自分の主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ案件があるので、そちらはゆっくりとやっていきます。

◎よく聞かれるので、ここに載せておこう。最近観た中でベストな映画はこれベストな本はこれです。

◎現在CDの販売は終了してますが、書籍はあいかわらず販売中。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。

◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。

◎最近、こんな応援記事を書きました。ぺッテリ・サリオラの来日記念盤@Intoxicate

◎ケルティッククリスマス2026、発表になりました。今年はアルタンとソーラスが来日。詳細は公式サイトへ。

◎あいかわらず無印良品BGMの仕事はしております。この4月27日より昨年録音にかかわったデンマーク編が配信スタートしております。良かったら、聴いてください。店頭ではすでにその2週間くらい前から流れているようですが、結構まだBGM29のスコットランドもたくさん流れますね(のざき調査による)。

 

◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中


◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。 最新インタビューをotonanoにて連載中! さらに今まで配信されていなかった『アナザー・グラフィティ』『妹よ』『陽のあたる場所』『愛という名のもとに』『ええにょぼ』も3月25日より配信スタートしております

◎また「Two Menuets」がこの5月25日よりGucciのキャンペーン「The Original Sinner」で使用されています。改めて聞くと良い曲!  Gucciのキャンペーンサイトはこちら