衝撃の作品でした。それにしてもこの宣伝ポスター、ちょっとAIみたいだな。人間の表情が激しすぎて。でも本作、先日見た『開戦前夜』みたいにうるさくない。
正直、映画始まって、冒頭部分はちょっと分かりにくかったかも。最初はなんかストーリーが掴めず混乱した。でもあっという間に話に入ることができたんだけどね。
ここにも何度も書いてますが、私は滅多に邦画は見ない。でも邦画って、時々すごいのに当たる時がある。去年のこれとか。
この作品、どういうきっかけで観たいと思ったのか、今はまったく記憶がない(笑)。でもSNSで誰か信頼できる人が推薦していたのかも。とにかく絶対に見に行かなくちゃと思って、観に行った。
最初は大好きなシロさん(すみません、私、好きな映像作品では、ほんと役と俳優さんが一体化しちゃうんだよな…)が、ひどい形相で出てくるので、
「あらあら、シロさん、ひどいことになっちゃって、どうしたの、今日は」くらいの気持ちで見てたんだけど、そんなのは最初の10分くらいで、あっという間に西島秀俊演じる主人公に対する違和感は吹っ飛んだ。
そしてすごい存在感の佐竹というアル中探偵が、スクリーンの中…というか自分の目の前にいた。西島さん、あらためてすごい俳優さんよね。
そして、よく食う(笑)アシスタント女子もすごく良かった。満島ひかりさんっていう俳優さん。しかし俳優さんというのは、すごいな。いつから映画における俳優さんたちは綺麗に映ってなくてもよくなったんだろう。
とにかく二人ともいろんな意味でボロボロです(笑)
満島さん、いつもジャンキーな食べ物をガツガツ食べているんだけど、宮藤官九郎演じる明野と行った焼き鳥屋で、そのガツガツした力が、ふっと抜けた。あの感じはすごく良かった。場末の居酒屋とはいえ、あったかい食べ物はいい。
そう!! そして宮藤官九郎ですよ。俳優陣がとにかく素晴らしく、特に圧倒的だったのが、実はこの宮藤官九郎。
いやーーーーーすごくないですか? 週刊文春で時々読むライターさんくらいにしか思ってなかったよー!!! ええ? これが宮藤官九郎という人なの? 初めてちゃんと認識したよ。遅すぎ??!
ガッリガリに痩せて、まるで役そのもの。本当に適任というかなんというか。すごくないですか? そして佐藤二郎さんも、すごくいい!!! 実は、最後の方では一番グッと来たのは彼の演じる米本という役だった。なんか、彼の中の何かにすごく私は感情移入した。
そして鶴太郎さんや役所広司さんなど、名優揃い。黒木華さんも、すごいよなぁ。いやー すごい。(語彙少なす…)
そして出てくる障害者の俳優さんたち。私も、なんとも言えない気持ちになった。でも彼らが笑ったり嬉しそうにしたりする、そしてそれを見て自分も幸せな気分になれる。そこが良かった。
パンフレットを見たら「彼らを障害者ではなく俳優として扱ってください」とご家族の方は言ったのだという…。
それにしても障害者をとりまく人々のリアルが、この作品で、とても鮮やかに描かれている。実際24時間誰かのお世話するとか、私には絶対に無理だ。
でも、そんな私でも、そういう、ちょっと「あぁ、良かったな」って自然に思える、人間の、そして自分の中の、そういうことを信じないとダメだと思った。
こういう映画を見せられると、障害者に対する偏見は…とか色々言いたくもなるんだけど、じゃお前はどうなんだ、と言われれば、私は本当に褒められた人間じゃない。
今も障害者とまではいかないけど、(自分が)社会性に問題がある(と判断した)相手はとても苦手だ。私もまたチッチえ人間なのであった。
障害者、外国人などは、もしかしたらわかりやすい例だ。でも、それ以外、とにかく自分と違う相手。自分とはまったく合わない相手でも、社会生活上、接触しないといけない状況は誰にでもあると思う。
そういう相手は、絶対に私の中の何かを刺激してくる。私に、私は私であることを強く訴えかける。それはリトマス紙みたいなもんで、それによって自分で自分のことがわかるんだ。
自分はこういう人間なんだと。(態度に出ることは大人になれば、ある程度は稀になるのかもだけど)そういう人に新しく出会うたびに自分の未熟さをヒシヒシと感じるんだ…。
そして、それは私だけではないと思う。きっと、こういう映画は、そういうことを見せることで、世の中を一歩前に進めてくれるのだと思う。
ところで、この映画、監督のとあるトラブルで公開が延期になったという経緯があるらしい。この作品を観て感動し、監督名前をググるまで、私はその事件を全然知らなかった。
でも監督による謝罪がきちんとあり、そのトラブルの背景が少し説明され、なので、そんな彼の作品を自分がお金を払って見たことについては、私は納得している。
ジャニーズみたいに明確に悪質なものなら、もう明確に絶対に見に行かないが、そういった極端な例ばかりではなく、たとえどんなに気をつけていたとしても、誰もがそういうことに巻き込まれる可能性はあるし、社会と関わっている以上、そういうことからは自由ではいられない。
というか、昨今の佐藤二朗さんの件も含め、ちょっと考えさせられたよね。思うんだけど、マネジメントや周りのスタッフが俳優やアーティストの間に入ることで、結局コミュニケーションが出来てないケースが最近よくあるように思える。それは私も感じているんだ。
というか、マネージャーだったら、本人がしっかり社会と関われるように手伝うのがマネージャーの仕事だと思うんだがな。(別にこの件、マネージメントが悪いと言っているわけではない。でも日本の場合、囲っちゃうタイプのマネージャーって本当に多くないですか?)
俳優やアーティストさんも、そういうことを自分で自覚しないといけない。真の友達はあなたを社会から孤立させない。社会とうまくやっていけるよう、助けてくれるのが友達だし、良いマネージャーなんだと思う。
◎ピーター・バラカンさんの音楽映画祭の応援団やってます! 今回も充実の内容。公式ページはこちら。
◎よく聞かれるので、ここに載せておこう。最近観た中でベストな映画はこれ。ベストな本はこれです。
◎ノルウェーのフォルデ・フェスティバルに行ってきました。そのフォルデのレポートをONTOMO Webに載せていただきました。Tower Records MIKIKIにも。ありがとうございます。
◎アイルランドでメアリー・ブラックのラストコンサートを見てきました。レポートはこちら。セットリストをプレイリストにしました。
◎アイルランドでポール・ブレイディの3夜連続公演を見ました。レポートはこちら。最終日の様子はここ。セットリストをプレイリストにしました。
◎ドーナル・ラニーのドキュメンタリー『In Time』。自分の感想。出てきたアーティストの紹介。Frank Harte / Zoe Conway / Méabh Ní Bheaglaioch / Seosamh Mac Grianna。また関連楽曲を集めたプレイリストを作りました。楽曲解説も書いたよ。
◎現在CDの販売は終了してますが、書籍はあいかわらず販売中。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。
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