甚野博則『ルポ超高級老人ホーム』を読みました

 


ずいぶん前に購入して、うず高く高く積まれた積読山から救出した一冊。面白かった!!! 

そろそろ私も親の介護問題が出てくる年頃。だから引っ張り出した、というのはある。うちの親は相当な高齢だが、まぁ、たいしたモンだと思う。高齢で自立した生活が送れており、比較的健康で、娘は癌になったというのに、たいしたんもんだ。あの世代は強い。

しかも私が仕事をバリバリしている時は、何かこちらに頼ってくるということは一切なかった。それも非常に助かった。何せ友人の中には親の介護で、自分の仕事を泣く泣く諦める人だって少なくはないのだから。

というか、バラしてしまうと、反対にTHE MUSIC PLANTの経理作業は、高齢の母親がかなり手伝ってくれていた。

親子で作業をしているとすぐ喧嘩になるので、赤の他人をギャラ払って雇った方がなんぼかよいと何度も思ったことはあったのだが、そのギャラを出すくらいなら仕事にその予算を使いたかったので、それをしなくてすんだ。その点においては、とても感謝している。

加えて税理士も親の税理士を使っていたので、私は税理士経費を払う必要がなかった。これについても重ねて感謝だ。

が、その親もいよいよ高齢となったので、そろそろホーム的な場所に入れることになり、現在妹とあれこれ調べて検討している。緊急性はないのだが、なにせ高齢なので、いつ何があってもおかしくない。

こういう事態になって気づくのは、介護にしても、なんでも、本当に本というのはたくさん便利なものが出ていて、非常に助かる、ということだ。世の中のほとんどの問題には、それに対応するための本がある。

のちほど参考になった良い書籍なども紹介していきたいのだが、ジェーン・スーさんのこの本をはじめ、本当に勉強になった。で、今回はこちらの本を紹介することにする。

元文春のライターとして知られる甚野さんによる高級介護施設ルポ。面白くて、すいすい読める。実家への行き帰りの電車の中で読破してしまった。それにしても日本の介護野システムは、いやー なんというか本当によくできている。

文句をいう人が多いというが、いいや、マジでほんとにすごい。きっと頭のいい人が考えたに違いない。

もっともそれによって、かなり複雑で分かりにくい部分はあるのだけれど、私たちより前の世代は、こういったシステムもなく高齢の親を、例えばお嫁さんとかが面倒見ていたのだろうから、本当にこれを考えてくれた人に感謝したいと思う。ありがたい!!

世の中悪いことばかりに光があたりがちだけど、こうやって少しずつでも進歩しているのだなぁ、と私なんぞは感動してします。本当にこれに向けて努力してくれた人たちに感謝。

しかし。この本を買ったのは別の動機だ。どちらかというと、この本は自分のことが心配で買った記憶あり(笑)。

確か某ライブハウスのオーナーが超高級ホームに入って失敗した、と告白している記事だかトーク動画だかを見て、「ライブハウスってそんなに儲かるんだ」と呆れたのも、ひとつのきっかけだ。

そもそも親も私も「高級ホーム」に入れるような甲斐性はない。でも高級老人ホームでの失敗談を知って、ざまー… もとい貧乏な自分を勇気づけたい(笑)という意図はあったと白状しておこう。

いずれにしても、この本を買ったのはどっかで広告を見たんじゃないかな。加えて甚野さんはこんなYou Tubeもやってらっしゃる。

もっとも、私の中でこの本を書いた人とYou Tubeの「赤甚さん」が一致することは、最近までなかったのだが名前を見てびっくり。著者名を見て、あら、これよくYou Tubeで拝見する甚野さんじゃん!?と気づいたまでだ。(自分のアンテナの低さに感動するわ…)

ちなみに甚野さんは、高市早苗の記事など興味深い記事を論壇誌や週刊誌にたくさん書かれている。You Tubeで見るとちょっと軽薄な感じがしないでもないけど、お仕事は硬派なのだ。

さてそれはさておき、この本。いや、なんというか実に面白かった。もちろんウチの親にはこんな高級名ホームにはいる財力はないのだが、いやぁ、人間、歳とっても、そして金持ちでも貧乏人でも基本的には変わらないなぁ!と思ったのが正直な感想。

失礼ながらまるで猿山じゃん…と思わないでもないところなど。ボス的な男性が目立ち、女性たちはその男性のジョーク(あまり面白くもない)に女性一同爆笑するなど、ちょっと笑ってしまう。

いや、実際そうだろうな、この年代の老人たちは男性、女性問わずそういうところある。圧倒的な男性優位社会。

一方で介護に献身的なスタッフの話や、その一方でかなりブラックな経営者など、読み応えたっぷり。

例えば個室にはいくら友達になっても入れない方がいい(そうだろうな…)など、どんな場所においても適用できるようなアドバイスも、そこここに載っている。同じホームに入っている人との距離感も大事だ…ということなど、いろいろ参考になる。

実際、先に書いた両親の状況もあって、私もすでに施設を何箇所か下見したりしたのだが、そんな自分の知らない世界を見て、ちょっと社会科見学気分…もとい世の中にちょっとだけ詳しくなった自分がいる。

もちろん各施設のスタッフから見たら、どんな連中でも私たちの側は「お客様」であり、丁重に扱ってくれるわけなのだが。不謹慎かもだけど、なかなか興味深い世界だと思った。

本当に日本って…っていうか、どこの社会でも一緒だろうけど、いろんなレイヤーがあって、自分の知らない世界が、こんなに身近にあるんだなぁと実感した。

そうそう、この本を書いている甚野さんの取材に散々協力しておいて、内容はお任せします…ではなく激しく介入してくる施設があったり、ほとんど仮名表記なのだが、中には信頼してくれてスタッフで実名OKの施設があったり、さまざまだ。

まぁ、この辺はノン・フィクション、あるある、だな…。別に「超高級」「高級」に入所しなくても、勉強になることがたくさんある。ぜひ。

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◎96年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろし、公式サイトは近日中にアーカイブ化予定。自分の主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ案件があるので、そちらはゆっくりとやっていきます。

◎10月31日(土)のこちらのイベントの制作をお手伝いしています。大田区民プラザにて「ケルト・ハロウィン・フェスティバル」メインはO'JIZOのコンサート。CDも発売になるよ! 詳細はこちらへ。


◎ピーター・バラカンさんの音楽映画祭の応援団やってました! 上映されたドーナル・ラニーのドキュメンタリー『In Time』。自分の感想。出てきたアーティストの紹介。Frank Harte / Zoe Conway / Méabh Ní Bheaglaioch / Seosamh Mac Grianna。また関連楽曲を集めたプレイリストを作りました。楽曲解説も書いたよ。

◎そのピーターさん、音楽映画の本も出ますよ。こちらに詳細を載せました。

◎よく聞かれるので、ここに載せておこう。最近観た中でベストな映画はこれ。ベストな本はこれです。

◎ノルウェーのフォルデ・フェスティバルに行ってきました。そのフォルデのレポートをONTOMO Webに載せていただきました。Tower Records MIKIKIにも。ありがとうございます。

◎アイルランドでメアリー・ブラックのラストコンサートを見てきました。レポートはこちら。セットリストをプレイリストにしました。

◎アイルランドでポール・ブレイディの3夜連続公演を見ました。レポートはこちら。最終日の様子はここ。セットリストをプレイリストにしました。

◎現在CDの販売は終了してますが、書籍はあいかわらず販売中。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。

◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。

◎最近、こんな応援記事を書きました。ぺッテリ・サリオラの来日記念盤@Intoxicate

◎ケルティッククリスマス2026、発表になりました。今年はアルタンとソーラスが来日。詳細は公式サイトへ。

◎あいかわらず無印良品BGMの仕事はしております。この4月27日より昨年録音にかかわったデンマーク編が配信スタートしております。良かったら、聴いてください。店頭ではすでにその2週間くらい前から流れているようですが、結構まだBGM29のスコットランドもたくさん流れますね(のざき調査による)。

 

◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中。


◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。 最新インタビューをotonanoにて連載中! さらに今まで配信されていなかった『アナザー・グラフィティ』『妹よ』『陽のあたる場所』『愛という名のもとに』『ええにょぼ』も3月25日より配信スタートしております。

◎また「Two Menuets」がこの5月25日よりGucciのキャンペーン「The Original Sinner」で使用されています。改めて聞くと良い曲!  Gucciのキャンペーンサイトはこちら。