#pbmff レポート3 『エリス&トム ボサノヴァ名盤誕生秘話』を観ました

Elis & Tom: Só Tinha de Ser com Você

©O2 PRODUҪÕES ARTÍSTICAS E CINEMATOGRÁFICAS LTDA.


ブラジル音楽については、まったく分からない私ですが、まぁ、こういう名盤があることは、なんとなく聞いておりました。とにかく今、聞いても、すごく素敵なアルバム。

ボサノヴァといえば、キングレコード時代は、わたくす、中村善郎さんを担当したことがあるくらいなんですよ、私は。でも、はい、もう一度言いますが、ボサノヴァのことはよくわかっていません。南米は行ったことすらない。

でもボサノヴァは心地よい音楽に聞こえるけど、実は抑えた情熱があること、そういうなんというか大事なことは、中村さんに教えてもらった。(お元気かしら。しばらくライブもご無沙汰しちゃっているな…)

それはさておき、この映画ですよ。レコーディングのピリピリを描いた作品。私にはそう見えた。とにかくこの映画が公開になって音楽仲間の話題になっている時には見逃していたのだけれど、見て納得。なるほどね。

いや、ほんと嫌だよな、スタジオのピリピリ。なにせスタジオでは時間とともにお金も溶けていく… それがスタジオ。

私も何度か経験あるけど、私はそんな危険なレコーディングはしない。予算が決まっている中で納める。プロだから(笑)。だから私のレコーディングは絶対に安全圏内。

だいたいレコーディングというものは、キャスティングが間違いなければ失敗はない。だから、このレコーディングが揉めているのをみていて最初に思ったのは「これ、人選違うじゃん」「誰だ、これキャスティングしたの」「わかってねんだよ、スタジオを」だったのだが…

しかし… 実にマジカルなことが起きる。そう、安全圏を狙っていては名盤はできない。このドキュメンタリーは、そんなことを教えてくれるのであった。いかん、謙虚にならねば…。

私、失敗しないので…とか言っているやつに芸術の女神は微笑まない。

上映後のアフタータークです。こちらにはゲストとしてブラジル音楽愛好家の小山雅徳さんが登壇。ブラジル音楽の真髄を語っていただきました。すごく面白かった。こう言ってはなんですが固有名詞はわからなくても、マニアな方のお話はとても楽しいものです。

以下は私が自分の手書きメモを起こして書いたものです。間違ってたり、誤解があったりするかもしれません。あくまで文責:のざきでお願いいたします。ご指摘ある方はぜひご連絡ください。

最終的にうまくいくけど、それはアレンジャーとしてのセザルの忍耐が大きかったのかな、と小山さんはみているとのことでした。彼がジョビンを受け入れたから、最終的にうまくいった、と。今回16mmフィルムが4Kになって、歌っているところとかアテレコにも見えず、すごくよく仕上がっている、とピーターさん。オノセイゲンさんが、かなり整音してるんですよね、と小山さん。

ジョビンとしては、ちょうど73年で悩んでいたとみられる時期。内省的な感じ。

エリスが旦那を連れてきちゃったのが、つらい仕事のシーンにつながっていったのかも。エリスは常に笑顔いっぱいのポップ・シンガー。彼女はまだアメリカにまだ行けてない。一方、トム・ジョビンというのは、まったく違う世界観の持ち主。

エリスが国民的な歌手で、ある意味、ブラジルを完全にブラジルを捨てることはできなかった。一方、ジョビンの方はアメリカに行っちゃってた。エリスは軍で歌ってたりして、それを取り戻したキャリアを作っていきたかった。

この企画自体、どちらも望んでない企画。当時のマネージャーはそれでも撮っておこうと思って撮影し、当時でもテレビではやったはず。

当時の年齢はエリスは29歳、トムは47歳、セザール(旦那)は31歳。ちなみにセザールさんはまだご健在。ある意味、セザールがトムに嫉妬していたのかも、と小山さんはみているそうです。なるほど、年齢を聞くとなるほど…と思いますね。(それをもって、この映画を見ると、また違ったものが見えてくるかも)

当時はブラジル国内ではそれなりに話題になったけど、前作よりも売り上げはふるわず。日本では78年にフィリップスで「ブラジルの新しい波」として紹介された。静かな曲が多く、良さが今になってすごく感じられる。エリス・レジーナってよく聞いたことなかったけど、この映画で見ると切ない感じのバラードとか、すごくいい、とピーターさん。

ある意味、トム・ジョビンはアメリカにいたからブラジルのミュージシャンのこととか知らなかったというのはあるかも。でも一緒にやり始めて、これはすごい…ってなったのかも。

歌詞も不思議で、なにを言っているのか分からないところがたくさんありますね、とピーターさんが言うと、小山さんによるとブラジルというのは64年から80年まで軍事政権下にあり、ストレートに物事を言えなかったというのはある、とのことでした。面白い。

あとセザールについて。キングレコードは、セザールのトリオ「サンバランソ・トリオ」のアルバムを、当時人気が出たアイアート・モレイラとして売り出した、とのご指摘! あれ、このアルバム、なんか記憶にあるかも?! 

(すみません、小山さん、そしてブラジル音楽ファンの皆さん、リイシュー時だと思うけど私、キングレコードにいたかも??)

あ、そうだエリスについて。彼女は若くして亡くなちゃって、映画では自死みたいに語られているけど、小山さんいわく、あれは事故みたいなものだったのではないか、とのことでした。ちょっとホッ。ありがとうございました。

実は映画を見終わってから、一番良く聞いているのが、このアルバムで、今、うちでヘヴィロテです。雨の日にもぴったり…

本作、映画祭では、まだかかりますから、詳細は映画祭の公式サイトへ。




◎96年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろし、公式サイトは近日中にアーカイブ化予定。自分の主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ案件があるので、そちらはゆっくりとやっていきます。

◎10月31日(土)のこちらのイベントの制作をお手伝いしています。大田区民プラザにて「ケルト・ハロウィン・フェスティバル」メインはO'JIZOのコンサート。CDも発売になるよ!

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そのピーターさん、音楽映画の本も出ますよ。こちらに詳細を載せました

◎よく聞かれるので、ここに載せておこう。最近観た中でベストな映画はこれベストな本はこれです。

◎ノルウェーのフォルデ・フェスティバルに行ってきました。そのフォルデのレポートをONTOMO Webに載せていただきました。Tower Records MIKIKIにも。ありがとうございます。

◎アイルランドでメアリー・ブラックのラストコンサートを見てきました。レポートはこちら。セットリストをプレイリストにしました。

◎アイルランドでポール・ブレイディの3夜連続公演を見ました。レポートはこちら。最終日の様子はここ。セットリストをプレイリストにしました。

◎ドーナル・ラニーのドキュメンタリー『In Time』。自分の感想。出てきたアーティストの紹介。Frank Harte / Zoe Conway / Méabh Ní Bheaglaioch / Seosamh Mac Grianna。また関連楽曲を集めたプレイリストを作りました。楽曲解説も書いたよ

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◎ケルティッククリスマス2026、発表になりました。今年はアルタンとソーラスが来日。詳細は公式サイトへ。

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◎また「Two Menuets」がこの5月25日よりGucciのキャンペーン「The Original Sinner」で使用されています。改めて聞くと良い曲!  Gucciのキャンペーンサイトはこちら