こちらはドーナル・ラニーのIn Timeを作ったのと同じチームによるテレビ番組Other Voicesより、ポーリーのポスター画像です。先日に放送になったみたい。
ドーナルのドキュメンタリーを見て、アイルランド音楽を90年代から2000年の初頭に追いかけていた人は、意外に思った人が多いでしょう。なんで、ポーリーごときが出てくるのかな、と。(ポーリー、ごめんね)
そう、でもポーリーは今、ドーナルがやっているこちらのバンドのシンガーなんですよね。このバンドは、どうやらキックスターターでスタジオ盤も制作していた。正直、完成していないと思います。というのも、パンデミックがあって、その直後にドーナルが具合が悪くなっちゃったから。
見たら、日本からも3人くらい参加していたみたい。皆さん、申し訳ありません。でもマスタリングまで終わっているようなので、いつか出来ると思います。
ドキュメンタリーを見て思ったのは、アルバムのプロデュースについては、ドーナルは「トータル・コントロール!」と言ってましたが、結局のところあまり思い入れないんだな、ということですね。プロデュース作品として、何かが特別に紹介されることはなかった。マット・モロイ、トミー・ピープルズ、ポール・ブレイディの作品くらいでしょうか。
例えばEMIが96年に作った『COMMON GROUND』。これがケイト・ブッシュから、U2のメンバー、シネイド、コステロなど、超ビックアーティストが集結した、これぞ「ドーナルはすごい」的大傑作アルバムだったのですが、それについても、一切言及がない。
例えばこのトラックは今聴いてもしびれますね!! ドーナルがプロデュースしたケイト・ブッシュが歌うアイルランド語の「アイルランドの女」
90年代彼のプロデュースした作品が大好きな我々からすると、ちょっと寂しいけど、まぁ、仕方ありません。だからこのドキュメンタリーに出てくるミュージシャンも、シャロン・シャノンやアルタンとかではなく、あくまで今のバンドメイトなわけです。
また詳しい人は、ご存知だと思いますが、彼女はケリー州出身のシンガーで、ルナサのドナ・ヘナシー(初代ギタリスト)の婚約者でした。
ルナサの『Merry Sisters of Fate』のライナーにもしっかりそれが書いてあるから、ここで言っちゃてもいいと思いますが、このアルバムの5曲目に収録されている「Iníon Ni Scannláin」(スカラーンの娘)は、ドナがプロポーズする時にポーリーに捧げた曲です。
今は二人とも別々に家庭を持っているので、それを蒸し返すのもなんですけど(笑)。ちなみにドナは女性に捧げた曲はもう一曲あります。こちらも超名曲。この曲より前だとは言っておきましょう。でも言わないでおきます(笑)でもそれもタイトルを見れば分かります。
さて、そのポーリーが最初のアルバム『Red Colour Sun』(プロデュースはあのジョン・レイノルズ)をリリースした時、実はめちゃくちゃ彼女を推していたのが、ルナサのマネジメントのスチュワート、そしてジョン・ダンフォード(シャロンの当時のマネージャー)、そしてコンパスレコードの社長のギャリーでした。
で、「お前もこの企画に乗れ」ぐらいのことは言われたんです。いや、はっきり言って、すごいプレッシャーが3者から入りました。私も当時の取引先ベスト5の中の3社だったので、心を込めて本気で参加しなくても(笑)、ある程度は関わった方がいいのかなと思わないでもなかった…
が、私は、こういう、なんというか、ポップスの舞台に上げないと戦えないものについては、あまり気乗りがしなかったんですよね。あと、ほんと素人でいやんなっちゃうんだけど、自分の心が入ってないとプロモーションもうまく結果が出ない。
そもそも当時、私の得意分野はインストだった。ポールとは仕事をする前でしたが、されとてメアリー以外のヴォーカリストをプロモーションする気にもなれなかったので、断っちゃった。今でもその判断は正しかったと思ってますが。
でも、今振り返ってたいしたものだなと思っているのは、彼女がそういった周りの浮かれ度合いに乗せられるだけではなく、今、振り替えてみても、きちんとしたキャリアを自分で紡いでいることです。
実際、なんやかんやと周りにもてはやされ、1枚アルバム出して上手くいかず、消えちゃった女性シンガーは日本でもアイルランドでもめちゃくちゃ多いですから。
特にアイリス・ケネディとのデュオ「ルミエール」は、かなりしっかりした活動をしています。自分たちで積極的にツアーはしていないけれど、それこそドナのギターをバックに二人で歌うライブは、実際全然悪くはありません。
フェスティバルのポスターで名前を見ることも多く、テレビをはじめとするメディア出演も多い。このクラスのアイルランド音楽のグループが来日しても全然おかしくないのになぁと日頃の彼女たちの活動を見て思ったりしています。
ルミエールはファーストがアイルランドのソニーから出たんですが、メジャーから出たものの悲劇として音源がもう手に入らない。配信も進んでない。今、配信で聴けるのは自主制作のこちらの作品です。
こちらはダミアン・デンプシー とのステージ。悪くないでしょ?
というわけで、ドーナルのドキュメンタリーになぜ往年の仲良しの、例えばシャロン・シャノンやアルタンのマレードが出てこないのか、と日本のファンは疑問に思うかもしれません。
でも、今、ドーナルが女性シンガーとして認めているのは、彼女であり、自分のバンドメイトとして人間関係を大事にしている様子が伺えるわけです。実際、ドキュメンタリーで流れた彼女の歌、すごくよかった。ドーナルを褒め称えるコメントもなかなか気がきいていました。
あのかかった曲は、たぶん今後出るであろう、Atlantic Arcのアルバムに収録されるものだと私は踏んでいます。そういう意味では、ドーナルもまだまだ現役なんだなと私はちょっと嬉しくなりました。
彼女の写真を出張時のフォトアルバムで発見。ルナサの楽屋で共演の練習をしているところ。この時はルナサ+初代ギタリストのドナ+ルミエールの二人という編成でした。ベルファストにて。2年前くらいの写真です。
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◎96年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろし、公式サイトは近日中にアーカイブ化予定。自分の主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ案件があるので、そちらはゆっくりとやっていきます。
◎10月31日(土)のこちらのイベントの制作をお手伝いしています。大田区民プラザにて「ケルト・ハロウィン・フェスティバル」メインはO'JIZOのコンサート。CDも発売になるよ! 詳細はこちらへ。
◎ピーター・バラカンさんの映画祭でも上映されたドーナル・ラニーのドキュメンタリー『In Time』。自分の感想。
出てきたアーティストの紹介。Frank Harte / Zoe Conway / Méabh Ní Bheaglaioch / Seosamh Mac Grianna / Liam Bradley。また関連楽曲を集めたプレイリストを作りました。楽曲解説も書いたよ。
◎そのピーターさん、音楽映画の本も出ました。こちらに詳細を載せました。
◎よく聞かれるので、ここに載せておこう。最近観た中でベストな映画はこれ。ベストな本はこれです。
◎ノルウェーのフォルデ・フェスティバルに行ってきました。そのフォルデのレポートをONTOMO Webに載せていただきました。Tower Records MIKIKIにも。ありがとうございます。
◎アイルランドでメアリー・ブラックのラストコンサートを見てきました。レポートはこちら。セットリストをプレイリストにしました。
◎アイルランドでポール・ブレイディの3夜連続公演を見ました。レポートはこちら。最終日の様子はここ。セットリストをプレイリストにしました。
◎現在CDの販売は終了してますが、書籍はあいかわらず販売中。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。
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◎あいかわらず無印良品BGMの仕事はしております。この4月27日より昨年録音にかかわったデンマーク編が配信スタートしております。良かったら、聴いてください。店頭ではすでにその2週間くらい前から流れているようですが、結構まだBGM29のスコットランドもたくさん流れますね(のざき調査による)。
◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中。
◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。 最新インタビューをotonanoにて連載中! さらに今まで配信されていなかった『アナザー・グラフィティ』『妹よ』『陽のあたる場所』『愛という名のもとに』『ええにょぼ』も3月25日より配信スタートしております。
◎また「Two Menuets」がこの5月25日よりGucciのキャンペーン「The Original Sinner」で使用されています。改めて聞くと良い曲! Gucciのキャンペーンサイトはこちら。