辻田真佐憲さん『「あの戦争」は何だったのか』を読みました



ブックレビューがたまりまくっているけど、ゆるゆると紹介していきます。

この本、めっちゃ売れてるんですってね。去年の9月にツアーで行った山陰で、この本を購入した。たまたまミュージシャンたちと入ったカフェがブックカフェで、すごく感じの良い店だったので、そこで購入したのだった。

ほぼ1年の積読の末、先日やっと手にとって読んだ。先に読んだ飯村豊さんの総力戦研究所本の影響もあって、もう少しいろいろ日本のことを勉強したくなったのも背中を押した。いい傾向だ、自分。やる気になった時に、ちゃっちゃとやるのがいい。

そんなわけでにわか戦後史マイブーム。…っていうか、世の中が悪くなると、ついつい勉強したくなる。自分の不安をぬぐうために。そしてますます不安になるのだが。

それはさておき…

難しい本だろうなと敬遠していたけど、この本、思ったより読みやすい。何より新書なのがいい。

とはいえ、私が普段買うエッセイみたいな新書よりは、読むのに時間かかった。だからスイスイとまではいかないけれど、歴史、特に近代史苦手という人にも、それほど無理なく普通に読めるのではないだろうかと思う。

私も日本史苦手な方なので、大丈夫、みなさん、この本は大丈夫ですよ(笑)

著者は私の大好きなYou Tubeの番組「ポリタスTV」のレギュラー出演陣である辻田さん。最近は数あるポリタスの番組の中でも、私は辻田さんの番組がすごく好きだ。なんといっても津田さんとの会話のテンポもシャープで内容が濃く、短い時間でいろいろ学べる、というのがいい。

普段から、そんなふうにお世話になっている(笑)ので、普段は買わないいわゆる「保守系の人」の本だけど抵抗なく手にとった。

で、思ったのは、なんだろ、すごく「フェア」な本だというのがまず第1の感想だ。そして極端な意見にならないよう、すごく注意して書かれているのが分かる。

そう! これですよ! これこそが辻田さんの真骨頂であり、ポリタス民と呼ばれる左派の人たちからも信頼されている所以かも。

知らないおじさん=歴史上の人物(笑)の名前がたくさん出てきて、正直ちんぷんかんぷんになりつつ読み進めた私にも、なんとなく「あの戦争」の概要がつかめたような気がする。

だいたい「あの戦争」をどう呼ぶのか。そこからこの本は始まる。太平洋戦争? アジア・太平洋戦争(ナカグロ付き)? 大東亜戦争?(右翼的だけど、最近はそうでもないらしい)

そしてそもそも戦争の起点は? 

戦争の起点も日本を加害者としてみる15年戦争史観、日本を被害者としてみる東亜100年戦争史観、こういった大きな見取り図をなくして細かく分析すべきという実証主義…。見方はひとつではない。そういったことがこの本では、丁寧に説明されている。

そしてあの石破元首相も大尊敬しているという石橋湛山の先見性も、とても興味深い。日本は植民地をすべて放棄して、積極的に貿易を進めよ、と石橋湛山は解いた。

そうすることによって米英にたいしても道徳的に優位にたてるよ、と。そうあの時、日本は「道徳的に」振る舞わなければならなかった。が、実際起こったことはそうではなかった。そこから先は、まさにヒストリー。こんな結果になったわけだ。

あと特に私が興味深く読んだのが、「あの戦争」を、アジアの国々がどう思っているかという現地の博物館・記念館巡りの章だ。

東条の出張ルート通りに訪ねた国々で、辻田さんは多言語で書かれたガイドを読み解きつつ、細かく解説していく。この件りは、ものすごく興味深かったし、不謹慎かもだけど、実際読んでいて楽しい部分でもあった。

そして、日本にはない近代史の博物館。私たちは、まだあの戦争をきちんと振り返れていないわけだ。

辻田さん、最終的にあれこれ検証した結論として、国が作るものとしては、65点の位置にいったん着地するのがいいとも説く。この本一冊にわたって、それ誠意をもって丁寧に説明しているし、私もその意見に賛同する。

歴史って難しい。例えば、私は原爆資料館は音楽がない方がいいといつも思っている。もう10年以上行けてないから、今はどうなのか知らないのだけれど、まだ流れているのかな、あの音楽。あの音楽を聴くたびに思う。この音楽はいらないよ、って。

音楽とかじゃなくて、もっとプレーンに情報をきっちりと見せた方が説得力があるのではないかと思う。展示物はあのままで。

話を辻田さんのこの本に戻すと、ここで紹介されている靖国の遊就館には怖くて行けないけれど(いや、行ってみようか…迷うところだ。辻田さんが案内するツアーでもあれば、勇気を出して行けるかも??)、江東区の東京大空襲・戦災資料センターとか、千代田区の昭和館には行ってみようかなと思ったのでした。

あと佐倉の国立歴史民俗博物館。あそこは本当に面白い場所で、昔はよくあそこに外国人の友人を案内したものだけれど、最近はそんなことになっているんだ、とこの本を読んでびっくりした。30年くらい行ってなかったかも…また行ってみようかな。

と、博物館や資料館の重要性を認識しつつ、辻田真佐憲さん『「あの戦争」は何だったのか』おすすめです。ぜひ。

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◎アイルランドでポール・ブレイディの3夜連続公演を見ました。レポートはこちら。最終日の様子はここ。セットリストをプレイリストにしました。

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